絵本紹介
2024.09.18
子どもたちが生きものと触れ合う姿を見ると、うらやましく感じることがあります。動きを止めている昆虫に合わせてじっと観察したり、緊張気味の動物には静かにやさしく触れたり。初めて顔を合わせた生きものとは、見つめ合って目と目で挨拶をしているみたい。人間である自分と彼らとの間に境界線をつくらない、子ども時代限定の生きものたちとの向き合い方がきっとあるように思います。
絵本に登場する生きもののことも、子どもたちはきっと同じように見つめているのではないでしょうか。それはリスやウサギでも、カブトムシでも、恐竜であっても。
今回は、生きものたちが主人公のおはなし絵本を集めました。
迷子になった恐竜のひとりぼっちの不安や友だちができたときの嬉しさ、揺れ動く「きもち」を一緒に味わい考えてみる絵本。リスのタクシーが主人公の絵本は、その特徴を最大限活かした仕事ぶりに目を見張ってしまいます。「いいこってどんなこ?」もしわが子に聞かれたら……どんなふうに答えるでしょうか。
子どもたちの生きものへのまなざしは、私たち大人が長く忘れていた視点も思い出させてくれます。
出版社からの内容紹介
群れからはぐれた迷子の恐竜、パラサウロロフスのパフ。はじめ、悲しみにくれるが、おなじ恐竜の子ども、パキケファロサウルスのパキに出会って遊び始めると、楽しさで、しばし悲しさを忘れる。だが、夕方、パキのお母さんが迎えに来て、パキが帰ってしまうと、前より一層さみしさがこみあげて…。悲しい→楽しい→寂しい→うれしい…揺れ動くパフの気持ちを一緒に味わいながら、「きもち」について考える絵本シリーズ第一弾。幼児期にこそ育みたい、非認知能力を高める絵本。
この書籍を作った人
東京都生まれ。キャラクターデザイン、グリーティングカードのデザイナーを経てフリーのイラストレーターになる。絵本作品に、『ぴよちゃんのかくれんぼ』『ぴよちゃんとひまわり』『ピヨピヨだあれ?』などの「ぴよちゃん」シリーズ(学研)、『みどりのくまとあかいくま』シリーズ(ジャイブ)、『おやすみなさいのおと』『ころころパンダ』(講談社)他多数。その他、直販の保育絵本などでも活躍している。
出版社からの内容紹介
リスタクシーの運賃はリスの大好物の木の実。ほおばりは安全のため3つまでとさせていただいております。「ヘイッ! タクシー!」とよんでいただければ、自慢の身軽さで目的地までスイスイとご案内いたします。
リスたちの出勤風景や昼休みの過ごし方など、リスの特徴を活かしたさまざまな設定は、見ているだけで楽しくなります。街の細々とした描写も必見! もとやすけいじの魅力がたくさん詰まった絵本です。
出版社からの内容紹介
ティラノサウルスの腕が短いのは、なんでだろう?
恐竜は、どんな色やどんなもようをしていたのかな?
世界には、わかっているようでわかっていないことがいっぱい。
「?」を「!」にするための第一歩は、「もしかして〇〇だから?」と自由な発想で仮説を立て、検証することから始まります。
本書は、国立科学博物館の恐竜研究者と一緒に作った、これからの予測不可能な時代を生きる子供たちに必要な「答えのない問いに向き合う力」をはぐくむ新感覚の絵本です。
この書籍を作った人
1983年生まれ。九州大学大学院修了後、電通入社。コピーライター/CMプランナーとして数多くの企業/商品ブランディングを担当。2013年に野生動物研究者の双子の姉と「まもろうPROJECT ユキヒョウ」を設立し生息地での保全活動を開始。その経験から2020年に「DENTSU生態系LAB」を立ち上げ、生態系保全を起点としたコミュニケーションを行っている。
この書籍を作った人
1979年生まれ。東京藝術大学大学院修了後、電通入社。デザイナー/アートディレクターとして多数の企業・商品の広告やブランディング、デザインに携わる。仕事の傍ら個人での作家活動も行い、イラストやデザインなどの作品も制作している。2020年から「DENTSU生態系LAB」に参加。
出版社からの内容紹介
カブトムシをさがしにいこう!
いつ、どこにいけばみつかるの?
どうやってさがせばいい?
カブトムシをみつけるためのコツを、
子どもの目線で、具体的に紹介します。
カブトムシの集まる木コナラやクヌギの特徴や、
樹液の出ている木を見つけるヒントを、
写真とともに紹介。
おす同士のけんかや、
幼虫が育つ様子なども掲載。
生き物がどこにいるか、
何をしているか、に注目した、
自然観察のための写真絵本。
みどころ
うさぎのバニーぼうやがたずねます。
「ねえ、おかあさん、いいこって どんなこ?」
バニーの中から、たくさんの質問があふれてきます。絶対泣かない子がいい子なの? いい子って、強い子や怖がらない子のこと? 怒っているぼくなんて嫌い?それから……
おかあさんは、どの質問にも、一つ一つ丁寧にこたえます。泣いたっていいし、こわいものがない人なんていないし、怒っていても笑っていても、どんなバニーでも大好きだと。バニーはバニーらしくしているのが一番なのだとこたえるのです。
ぼうやとおかあさんの毎日は、もちろん色々なことがあるでしょう。いたずらをしたり、泣きわめいてたり、間違ったことをすることだって。おかあさんだって、怒ってしまったり、傷つけてしまうことだってあるのかもしれません。思うようにいかないものです。
だけど、いつだってまるごと受け止めてくれる人がいる。いつだって受け止めてあげたい気持ちがある。絵本を繰り返しよむことで、お互いのその気持ちが少しずつでも伝わるとしたら。それは、とっても大切で意味のある時間になるのだと思います。
「わたしたち みんなに」
この絵本の作者は、最初にそう言ってくれています。
この書籍を作った人
1953年生まれ。アメリカ アリゾナ州北部の山間部に住む。フリーライターとして活躍しながら6冊の子どもの本を出版。
この書籍を作った人
1947年生まれ。ジーン・モデジットは妻。風景画家として知られるが、絵本も12冊を出し、うち数冊が妻との共作。「はじめてのやさいスープ」(福武書店)などの作品がある。
文/竹原雅子
編集/木村春子