テレビで話題!いま、かんがえてみませんか?
- ためしよみ
絵本紹介
2024.11.23
ニュースをつけて目に飛び込んでくるのは痛ましい事件や予測のつかない社会情勢、人知を追い抜くテクノロジーの勢い。自分に歯がゆさを感じたり、不透明な未来に不安がよぎったり、心穏やかでないネガティブな感情に支配されそうになることはありませんか。それは私たちが、今を生きる大人だから。たくさんの幸せや喜びと、哀しみや怒りは背中合わせ、そのバランスが崩れそうになった時には……ちょっとした処方箋が必要だと思うのです。
ほんのひととき、ページを開くだけで俯いていた気持ちが立ち上がる、モヤモヤした霧が晴れていく。絵本は、とびきりの効力をもっています。 シンプルなことば、淡々とすすむストーリーの合間にそこはかとなく漂う切なさとユーモア。幼い頃に読んだ懐かしい童話世界も、繊細で美しいイラストで味わえば新たな感動が芽生えたり。現代と昔ばなしを行き来するような不思議な物語は、時空を飛び越えながら思考を柔らかくほぐしてくれます。
すぐそばに置き、ふとした瞬間に読みたくなる。そんな一冊に出会えたら、私たちは今日も心軽やかに前を向いていける気がします。
出版社からの内容紹介
宇宙船にのってやってきたぼくら。いっしょに乗れたのは、ママと大好きな犬のキングだけ。パパはここにいない。遠いところで、パパはどうしてるのかな・・・・・・。家族とはなればなれになってしまった2人の、少し切なくておかしな日常。自分を信じる勇気をくれる、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞作家が描く希望の絵本。
■推薦の言葉
ぼくが今、あこがれる作家がいるとしたら、まちがいなくエーヴァ!
今とこれからをきちんと描いているから。
エ−ヴァの絵にはいたずらなこどもの目線と落ちつきはらった色の配置があって、一見、静かだけど、こどもが放つそのもののエネルギーを感じるんです。
──荒井良二
宇宙船でやってきたふたりは「ぼくらはかんぺき、それしかない」「ぼくらにできないことなんてない」ときっぱり言います。元気にそう思えるとき、そんな気持ちになれないとき、そう思わなければ前を向けないとき。だれもがそんな瞬間を毎日くりかえしながら生きていることを、まっすぐに見つめてえがいた物語のような気がしています。ぼくらのことを知る手がかりも、絵の中にちりばめられています。読むたびに新しい発見があるかもしれません。
――よこのなな(訳者)
出版社からの内容紹介
森のまんなかに、ぽつんと箱がひとつ。誰がおいていったのか、中に何が入っているのか、わかりません。動物たちは近寄って観察します。中には、たしかに誰か(何か)が入っているみたい。「でておいで。こわくないよ」クマも、キツネも、ウサギも、フクロウも、リスも、一生懸命呼びかけます。でも、「いやああああ!」というのが返事。はずかしがりやの“だれかさん”は、友だちの呼びかけにこたえてくれるでしょうか?……森の動物たちの、かぎりなく優しい対応に心がなごむイタリアの絵本。
出版社からの内容紹介
主人公の少女マチルデにあるのは、身に着けている服とひときれのパンだけ。それなのに、お腹をすかせたおじいさんに会えばパンをさしだし、服のない女の子に会えば自分の服を脱いであたえ、とうとう文字通り身ひとつになってしまいます。すると空からいくつもの星が流れおちてきて……。グリム童話の「星の銀貨」は短くてとてもシンプルな話です。他人を思いやるやさしい心を幼い子どもにもわかりやすく描いていることに、長いあいだ読みつがれてきた名作童話の力を感じます。
そんなグリムの名作をバーナデット・ワッツが絵本にしたのが本書です。ワッツはこれまでもグリム童話やアンデルセン童話の絵本を数多く手がけてきました。植物や動物を細やかに描いた色彩豊かな絵は日本でも大変人気があり、原画展も幾度となく開催されています。本作『星の子ども』も、山のふもとの小さな村の景色から、青が印象的な星のきらめく夜の森まで、ワッツらしいあたたかみのある美しい絵が堪能できる作品となっています。少女マチルデのやさしい心を映したかのようなやさしいタッチの絵と、名作童話にふさわしい美しい言葉でつづられた文とが合わさって、名作童話の新たな魅力をひきだした本書は、手元においてくりかえし読みたい絵本です。
この書籍を作った人
1942年、イギリスに生まれる。父親は建築家、母親は舞台装飾家という恵まれた家庭で育つ。幼い頃から絵が好きで、絵を描くこと、お話をつくることは彼女の楽しみで、4歳のときにビアトリクス・ポターの影響を受けてつくった初めての本は現在も残っている。ケント州のメイドストーン美術学校で学び、絵本作家のブライアン・ワイルドスミスに師事した。これまでに、グリムやアンデルセン童話の挿絵を中心に最近は創作絵本も手がける。イギリス・ケント州在住。
この書籍を作った人
福島県で生まれ育つ。2007年にはじめての翻訳書『シャンプーなんて、だいきらい』(徳間書店)を出版する。訳書に『くらやみきんしの国』『死について考える本』『わたしのかぞく みんなのかぞく』(ともにあかね書房)、『モルモット・オルガの物語』『オルガとボリスとなかまたち』(ともにPHP研究所)、著書に『元号ってなんだろう 大化から令和まで』(岩崎書店)、「感染症と人類の歴史」全3シリーズ(文研出版)などがある。横浜市在住。JBBY会員、やまねこ翻訳クラブ会員。
出版社からの内容紹介
思いがけないストーリーと美しいイラスト
※お話は八つ
・雲深き山をこえて
・燃えろ、燃えろ、かげぼうし
・メシュリーナ
・バスケットいっぱいの水
・リコリスの木
・怒り山
・冬の夜にさまよう
・落ちてゆく世界をつかまえろ
エイキンとブレイクのコラボレーションによる本書は、まさに現代のおとぎばなし。森をさまようクマと結婚したいむすめ、海の王ネプチューン、お姫さまやまじょ、歌をうたう青いくつや、ピンクのヘビも登場する。火星人にすてられたかいじゅうや宇宙でのサッカーの試合!まほうとなぞに満ち、ユーモアあふれ、しかも古典の味わいをもかねそなえた魅力たっぷりの短編集。
この書籍を作った人
60年間に及ぶキャリアで、300冊以上の本にイラストを描き、ロアルド・ダール、マイケル・ローゼン、ラッセル・ホ−バン、ジョン・ヨーマンなどの作家とともに仕事をする。ロンドンに住み、2013年には、イラストによる貢献に対してナイトの称号を授与されている。1980年ケイト・グリーナウェイ賞、1996年ボローニャ・ラガッツィ賞(児童書フィクション部門)受賞。
この書籍を作った人
東京都生まれ。作家・翻訳家。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。その後、児童文学の創作と翻訳をはじめる。創作絵本に『3じのおちゃにきてください』『まいごのまめのつる』(ともに、福音館書店)、訳書に『3びきのかわいいオオカミ』『きみなんかだいきらいさ』(ともに、冨山房)、『はがぬけたらどうするの?せかいのこどもたちのはなし』『クレンショーがあらわれて』(ともに、フレーベル館)、『ふくろのなかにはなにがある?』(ほるぷ出版)などがある。
文/竹原雅子
編集/木村春子