夏の朝、降り続いた雨がやみ、森じゅうに太陽の光が差し込みました。今日は暑くなりそうです。そこで、「シャツもパンツもシーツもパジャマも、みんなまとめて洗濯しましょ」とお母さん。かごに汚れた衣類を入れて、みんなで谷川を目指します。 川に着くと、水のせせらぎ、涼風に誘われて、子供たちは即お洗濯開始。ジャブジャブ、グシュグシュ気持ちいい……。あっ、洗濯板に乗ったかえるくんが流れていってしまいます……。
森の緑のにおい、あぶらぜみの声、川のせせらぎ、涼風――。夏の森の空気をそのまま伝える、清涼感がいっぱいの一冊です。川で気持ちよさそうに洗濯する子供たちの光景は、水に触れる心地よさを想起させてくれます。かえるくんが流されてしまうエピソードには、ちょっぴりハラハラドキドキ。後半は、仕事を終えた充実感がいっぱいです。 昔はみな、こうやって手で衣類を洗ったこと、今でも機械を使わない国や地域では手を使っていることなど、子供たちに教えてあげるいいきっかけになりそうです。きっと、子供たちはハンカチや小さな衣類などで、進んでお洗濯することでしょう。 ――(ブラウンあすか)
晴れわたったさわやかな朝、14ひきは川原でせんたくです。大きなシーツも、みんなでごしごし……。
おはなしの中の透き通った空気感がこちらにも伝わってくるような綺麗な絵が印象的な14ひきシリーズ。
そんなシリーズの中でも一際その絵の透明感が際立っているのが、こちらの『14ひきのせんたく』ではないでしょうか。
誌面全体に流れる小川の美しさに目を惹かれるのはさる事ながら、兄弟たちのたわむれや川辺の生き物たちと“等身大”の交流、そしてよく目を凝らすと、お気に入りのぬいぐるみもお洗濯してあげている末っ子の女の子の可愛らしい姿。
見開き1ページの絵の中に紡ぎ込まれている「小さなしあわせ」の数が、この絵本が読む者の心を温める所以ではないでしょうか。
ご家族で、ご兄弟で周りを囲んで団欒して欲しい一冊です。 (ヨンデミー_子どもが読書好きになるオンライン習い事さん 20代・せんせい )
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