本書のモチーフになっているのは、スイスのチロル地方に伝わる“ファミリーツリー(家族の木)”の風習です。結婚したり、子どもが生まれたりなど、家族が増えるたびにりんごの木を植え、家族とともに成長して家族を見守ります。 主人公・チロルくんは村に暮らす男の子。チロルくんにとってここは世界でいちばん好きなところ。村での生活も、自然の景色も、家族や動物たちも、幼なじみの女の子・エーデルちゃんのことも、みんな大好き。花が咲いて、雪が降りつもり、牛を育て、宿題をして、収穫や家族の成長を歌をうたってお祝いする。そんな毎日がなによりもほこらしい。大きな、大きな世界の中で、チロルくんにとってはここがいちばん輝いているのです。そこにはいつもりんごの木があって、見守っています。チロルくんの恋の思い出や未来の家族との生活を。これまでも、これからも、家族の木であるりんごの木がそばにいます――。 本書は、2016年3月にNHKで放送されたアニメの原作絵本。
10歳の息子と読みました。
チロルくんとりんごの木。
という題名からは想像ができなかった、
とってもしっとりとした絵本。
せかいはとってもおおきいけれど、
チロルくんはここがいちばんすき。
村での生活、自然の景色、
りんごの木、エーデルちゃん、収穫祭、
春が来て夏がきて、秋がきて冬がきて、
大好きな村で毎日を大事に生きているチロルくんの生活が、
しっとりとした絵と、詩のような文章で描かれています。
あれもほしいこれもほしい、
あれもしたいこれもしたい、
あそこにいきたいここにいきたい。
便利で恵まれた生活をして、家の周りにコンビニもたくさんあって、
スマホをあければネットで買い物までできて、
でももっともっと、もっともっと!思っている私たちに、
「ちょっと待って!」と、呼びかけているようでもあります。
窓の外を見つめる、
チロルくんとエーデルちゃんの幸せそうな後ろすがた。
見ているだけでほっこりしますね。
なんでもない毎日を幸せに思うことが本当に幸せなことなのだと
改めて思わされるシーンです。
5歳の娘と読もうとした絵本だけれど、
5歳にはきっと理解できない。
10歳の息子と読んでよかった一冊です (ムスカンさん 30代・ママ 男の子10歳、女の子5歳)
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