たいくつなきつねが、あくびをしかけて…… 「ひーっ」とびっくり、やぶに飛び込んだ。 なぜならヒキガエルがいきなりサボテンに化けたから! そしてサボテンは、たちまちタヌキに。
このタヌキ、ふるえるきつねにはおかまいなしで、独り言を言い始めます。 「おれは、まことに タヌキであろうか。 タヌキにしては すこし かしこすぎるところが、ある」
……もうこの一言で参ってしまいませんか? なんと含蓄の深いこと。 いや、「かしこすぎる」かどうかはわかりませんが、 「おれは、まことにタヌキであろうか」 という悩みには、なんだか共感してしまいます。
きつねもぷっとふきだしかけますが、すぐに真顔になります。 高畑那生さんが描く、腕組みするタヌキの悩み顔といったら。 ますますタヌキがりっぱに見えてきます。 だってこのタヌキ、前は大会社の社長だっただの、ジャンボ機のパイロットだったのと言い出すんです……。
内田太郎さんのナンセンス哲学絵本。 タヌキがうたう歌や一心にとなえる呪文(?)もすごい迫力と浮遊感です。 本当に、じつはタヌキじゃないんじゃないの? 心のどこかを射抜かれた、へんな感覚がじわじわと湧いてきます。
読んで「たまたま、わたし」の「ほんとうのじぶん」を想像してみるのもわるくないです。 もちろん、りっぱなものとは限りませんよ!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
さまざまなものにばけてきたタヌキは、ふと思った。「おれは、まことにタヌキであろうか」。そんなタヌキの前に現れたカラスは何事もないように言った。「おまえは今、たまたまタヌキなだけだ」。なんと……。おれは、たまたまタヌキなのか……。 絵詞(えことば)作家とシュールな画家がタッグを組んだ、ナンセンス哲学絵本。
変身しすぎて、自分が本当にタヌキなのかどうか分からなくなったタヌキ。
そんなタヌキに、カラスがささやきます。
すぐには信じられないような、突飛な展開のこの絵本。
結局、タヌキは本当にタヌキではなく……、天丼?
本当に?
展開がぶっとびすぎて、すぐには信じられません。
読み終えてしばらく経ちますが、今でも信じられません。 (めむたんさん 40代・ママ 男の子21歳)
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