1869年、夏。 とある家族に届いた、一通の電報。 それは、カリフォルニアにいるお父さんからのものでした。 アメリカはネブラスカ州の東から、お父さんのいるカリフォルニア州へ向け、家族は旅路につきました。 彼らを運ぶのは、開通したばかりの大陸横断鉄道! 石炭、あるいは薪を燃料に、黒煙を吹きあげて進む鉄の馬。
たくさんの人々の手によって完成したあらたな鉄の道は、それまで長く危険の伴うものだった大陸横断の旅路を、早く安全なものへと生まれ変わらせました。 荒涼とした砂漠、ダイナマイトで掘ったトンネル、機関車ですら登るのに苦労する山道、渓谷とそれを渡る巨大な橋…… 古き良きアメリカの原風景をひた走り大陸を横断する、四日間の旅がはじまります!
細かな描写と圧倒的な臨場感で、蒸気機関車とその歴史を大迫力に描き出した、コルデコット賞受賞作。 大陸横断線路敷設の歴史と、蒸気機関車の仕組みの詳細、列車の運行表や乗換案内までもが描かれている本作ですが、なんと、それらの載っているのは表紙裏。 そこまで描かれていながら、まだ本編ですらないという情報密度!
かたや本編では、大陸横断鉄道の東の端から西の端までを旅するひとつの家族を追いながら、1869年当時の蒸気機関車を使った旅の様子を描いていきます。 蒸気機関車を動かすために、どんな人たちが、どのように働いていたのか。 客車内や停車駅では、乗客たちはどのように過ごしていたのか。 そして、おどろき新事実!?蒸気機関車のトイレ事情!
特に、乗客たちがその旅路で巡り合う景観がみどころ。 著者の詳細なリサーチに基づくリアリティと、ていねいに描きこまれたイラストが、あたかもアメリカ西部開拓時代に迷い込んでしまったかのような臨場感を生んでいます。 実は、表紙のカバーを取り外すと、そこにもかつてのアメリカを描いた雄大な景色が!
巻末には本書を制作するにあたって用いたもののうち、特に有用であった資料について記載されていて、蒸気機関車と当時の人々の生活、文化についてさらに学習を深めることのできるようになっています。 詳細に描きこまれた美しい蒸気機関車や、古き良きアメリカの原風景がワクワクさせてくれるのはもちろん、SLをとりまく当時の文化や歴史、その仕組みをくわしく学ぶための楽しい入門書として、大人にもオススメの一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
1869年、夏。ひとつの家族がアメリカ大陸の東から西へ向かって旅立った。開通したばかりの大陸横断鉄道に乗って! 横断鉄道は1862年アメリカ南北戦争の真っ最中に計画され、2つの鉄道会社によって建設が進み、1869年に完成した。これにより東のオマハから西のカリフォルニアまで、えんえんと馬車でいくか、船でアメリカ最南端の岬を回る船でいくしかなかった旅が、たった4日にちぢまった。力強い蒸気機関車の登場と大陸横断鉄道の開通はアメリカの生活を大きく変えたのだ。その横断鉄道の旅と蒸気機関車を、臨場感あふれる迫力ある絵で描いた絵本。蒸気機関車についての解説付き。アメリカの権威あるコルデコット賞受賞作品。
コールデコット賞受賞作品ということで、興味を持ちました。少し大きめサイズの絵本で、迫力があります。
開通したばかりの大陸横断鉄道に乗って旅する家族を追いながら、当時のアメリカの景観をリアルに再現しています。
事実に基づいた情報量も多く、読み応えがありました。
イラストもおしゃれで、大人が読んでも楽しめる作品だと思います。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子12歳)
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