あっちゃんがひとりでお留守番をしているとき、とつぜん鳴り響いた電話。 受話器を取ったあっちゃんは、首をひねりました。 おかしな声をしたその相手は、なんと自分のことを帽子だと名乗るのです。
「もしもし、ぼくは帽子だよ。あっちゃんのお父さんの、青いしましま模様の帽子だよ」
お父さんに置きっぱなしで忘れられてしまったと訴える帽子。 半信半疑で家に帰ってきたお父さんをうかがうと——なんと、たしかに帽子を忘れているではありませんか。
数日後、またもやお父さんに忘れられてしまった帽子から電話が。
「助けてくれ! お父さんに、早く取りに来てくれって……ああー!」
叫び声と共に切れる電話。 そして帽子は、行方知れずとなってしまうのです——
帽子から電話がかかってくるという、摩訶不思議な幕開けではじまる物語。 どうして帽子が電話なんてかけてくるのか? お父さんだけが知っている、帽子の秘密とはいったいなんなのか? 助けを求めて叫んだ帽子——彼にいったいなにが起きたの!? 次々わき上がる奇妙な謎に、読み進む手が止まらない一冊。
本作のみどころは、その奇妙さだけではありません。 非常識な態度をとる帽子や、それをなくしてオタオタするお父さんを見て、あきれたり怒ったりする主人公あっちゃんの、妙に大人っぽい性格が、かわいいやらおかしいやら!
「おとなって、今自分が何をしたいのか、自分でわからないんだろうか。さびしい生き物だ……」
はたして、帽子はどこにいってしまったのでしょう? 最後の電話からしばらく経った夜中…… かの帽子は、予想だにしないとんでもない場所から、みたび電話をかけてきたのです――
(堀井拓馬 小説家)
電話がなったから出てみれば、なんとお父さんのたいせつにしている「帽子」からだった! 奇妙なお話がテンポ良く描かれ、思わず引き込まれる一冊。はたして帽子はなんのために電話をかけてきたのか……。1974年に出版された絵本の新装版。
長田弘さんも長新太さんも大好きなので、これは読まなければ!と思いました。
小さめサイズの縦書きの本。絵本と言うよりは物語という感じです。
お留守番の時に電話がなるという、子供にとってはドキドキの場面からおはなしは始まります。その電話の相手が、なんとお父さんのしましまのあおい帽子で……。
夢があって、のびやかで、スケールも大きい。本当に素敵なおはなしでした。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子17歳、男の子15歳)
|