あれ? ママはどこ? おにいちゃんやおねえちゃんは、どこにいったの? ぼく、ひとりになっちゃった。
ある朝、目覚めると家族が消え、ひとりきりになってしまった、都会暮らしの子ネコ。 ママは、どこにもいない。あっちもこっちも、こわいものがいっぱい。 あぶない目にあいながらもなんとか切り抜け、毎日を生き抜く子ネコ。 それでもあるとき、とうとう子ネコは思います。 もう、だめかもしれない……
その日から、子ネコの毎日はがらりと変わっていくのです——
都会の真ん中で突然ひとりになってしまったか弱い子ネコが、やがて運命的な出会いを経て「スワン」と名付けられ、あらたな日常を得るまでを描いた一冊。
特別大きな山場がある物語ではありません。 後半はあらたな家族のなかでスワンが過ごす穏やかな毎日について描かれていて、物語として動きがあるのは主に前半部です。 それでも、読み終えたあとにはたしかに、あたたかくおおきな感動が胸を満たしています。
あたらしい家族のなかで、少しずつ天真らんまんに、いたずらっぽく変化していく「スワン」。 それが、雨にぬれながら目を見開いて怯え、やせ細った体で捨てられた缶詰を漁る「子ネコ」として描かれていた前半との対比で、強く胸を打ちます。
そして、なんといってもこの作品は、写実的に描かれたスワンのさまざまな表情や仕草がみどころ! じっと蝶を見つめるその瞳や、飼い主の枕元に身を寄せ眠る姿の、かわいいことといったら。 ネコの魅力を現実以上に描き出しているイラストレーションだといっても、過言ではありません。 なにせいっとき、私は自分が犬派だと忘れてしまうほどでしたから!
ネコ派のあなたにもイヌ派のあなたにもオススメの、あたたかくかわいい一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
家族とはぐれ、ひとりぼっちになってしまった子ネコ。 街をさまよい、困りはてていたところをやさしい人たちに助けられます。 どこかに連れていかれたかと思うと、たくさんのネコたちのいるオリの中へ。 そしてある日、新しいところへむかえられます。
みんなが、ぼくにむかって、「スワン」っていう。 「スワン」って きっと、ぼくのことなんだね
保護されたネコが、ある家族と出会い、安住の地を得るまでを ネコの視線でやさしく描きます。
一匹のノラネコの運命のお話。この子は幸せになって本当によかったな。この子がどうして一人ぼっちになったかとか、親猫や兄弟ネコはどうなったかは、一切描かれていない。それは、読後に考えればいいこと。まずはハッピーエンドのお話を届けたい。 (ピンピンさん 70代以上・じいじ・ばあば )
|