室町時代の短編小説を集めた『御伽草子』の中の一編。 「ものくさ」とは、無精なことをいい、国中で一番のなまけものが、このものくさ太郎だ。信濃国あたらしの卿(現在の長野県松本市)に暮らす男の話である。何もせずにただ寝ころんでばかりいるその男が、ある時、京へ上がることになり、初めて仕事をもって働きだす。そして、国へ帰る前に是非とも妻を探したいと思い、清水寺(京都市東山区)へ行く。そこでひとりの女と会い、ものくさ太郎の歌の才が見出される。出世し、妻を連れて信濃国に戻ったものぐさ太郎は、幸せに暮らしたという。下克上(下位の者が上位の者の地位や権力をおかすこと)の風潮が、庶民を主人公とする物語を作ったといえよう。
御伽草子の一節だから、このように雅さがあるのでしょうか。
ただの無精男が、これまでに言葉を巧みに使うこと、行動力があることに驚きました。
ものぐさが過ぎる太郎が、転がったままの餅を取ってもらった地頭に認められる件も、全てが気まぐれから始まったことを印象づけています。
気品のある絵本ですが、ただ、文章が見づらいことが残念でした。
読み聞かせというよりも、一人読みで楽しみたい絵本です。
外国人に喜ばれるかも。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
|