月がだいすきな男が、月をとってこようと決心し、長い長いはしごを作った。 はしごは月に届いて、ついに、男は月を手に入れる。 しかし、それからが大さわぎ!
空想的な物語の中で、月食など月にまつわる不思議も紹介。
幻の絵本シリーズ、ポニー・ブックスの中の1冊、1963年刊の復刻版。 ポニー・ブックスは、1960年代、一流の漫画家、イラストレーターが絵とお話の両方を手がけたことで 話題をよんだ絵本シリーズ。 製本、用紙、文字、色味、等、なるべく当時の風合いを再現して復刊しました。
2019年10月に亡くなったイラストレーターの和田誠さんのたくさんの仕事の一つに
「絵本」があります。
絵本での大切なこととして、
「まず絵がいいこと。上手じゃなくてもいいから、魅力的な絵。
面白い流れがあること。物語であっても、感覚的なものであっても、
あとは展開させるデザイン」と話しています。
『ぬすまれた月』は、そんな和田さんが初めて手がけた自作絵本です。
1963年のこと。
その時のことを和田さんは後年こう語っています。
「画家がお話も作るというのが条件でした。ぼくはまだ駆け出しのイラストレーター。
作と絵の両方をやるのは初めてで自信もなく(中略)ドキドキしながら参加した」と。
本人はそう言いますが、そんなことはありません。
この絵本はとてもうまく出来ていて、
和田さんの言葉を借りるなら「展開させるデザイン」がずば抜けています。
柱になるのが、空から月をとってきたお話。
そんな大事な月がある時盗まれて、さまざまな人の手にわたります。
ご存じのように月は時々で姿かたちを変えるので、
そのあたりが物語を面白くさせています。
こんな物語の前後に、月のかたちであったり変化がどのように起こるのかを
巧みなイラストで説明していきます。
そのバランスがとてもいい。
最初の刊行以来、何度かリニューアルされながら読み継がれているのも、
絵本としても魅力があるからです。
そう考えると、和田さんにとって「絵本」はとっても大切な仕事だったに違いありません。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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