「さあ ねるじかんですよ」
毎日やってくる夜のこの時間。お部屋を暗くして、同じお布団に入っていても、なんだか様子は全く違う二人がいます。どうにか息子に早く寝て欲しいと思っている母親と、まだまだ遊んでいたくてぱっちり目が開いている息子。この場合、大抵「はやくねなさいよ」と言っている方が先に寝てしまうのです。そうすると……?
「ぐにゅううううう」
あれ、なんかへん!
「もこもこ〜」「うねうね〜」「ねとねと〜」「ぐにゅぐにゅ〜」
何かが始まってる? 壁がゆがんで、溶けだして、窓の外には…さかな!
「はいはい、窓のカーテンもあいてたね」
どうやらお母さんには見えないみたい。そう、男の子だけの「よるのじかん」の始まりです。外にはさかな、ポストが歩き出し、恐竜が迷子になって……ビー玉が空に浮かんでる! いつもの景色の様で、全然違う。なんて綺麗、なんて壮大なのでしょう。どんどん広がる夜の世界、僕だけの時間。だけど…もうなんだか眠くなってきちゃった…。
寝たいような、寝たくないような。夜の世界って怖いような、でものぞいてみたいような。子どもたちに毎日訪れる、そんな曖昧な時間。だけど、子どもたちには逞しい想像力があるのです。昼間に存分に遊べば遊ぶほど、夜の世界が豊かになっていき、すんなりそこへ入っていけるのかもしれません。作者の鈴木のりたけさんは、その圧倒的な画力でユーモラスで不思議で素敵な世界を描き出し、忘れかけていたであろう大人にも見せてくれるのです。(あのおもちゃがこんなところに!時計が…新幹線が…!?)
これは邪魔をしちゃいけませんよね。ああ、こんな夢。いつか見たことあったなあ…ムニャムニャ。さあ、今夜も一緒に絵本を読みながら、先に寝ちゃったのはどっちでしょう。起きたらあなたの「ねるじかん」教えてね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
なかなか寝ようとしない男の子。すると、ドアが曲がって見えたり、窓の外に何かが飛んでいたり、迷子の恐竜がいたり…と不思議なことが次々に起こる。子供たちだけに見える夜の世界を、迫力の絵で想像力豊かに描く。
鈴木さんの本が読みたくて、こちらを手に取りました。表紙からなんだかカオスな感じがしますが、4歳息子はワクワクしていました。ビー玉がずっといるね!とか、恐竜だ!とか。本当に想像力をかきたてられます。そして、ねこを探したり(かなり難しい)、ポストの数を数えたり…おまけが気に入ったようで一生懸命取り組んでいました。 (ままmamaママさん 30代・ママ 女の子10歳、女の子6歳、男の子4歳、女の子1歳)
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