おにぎりに気持ちなんてあるの……?
そんなところでつまづいていたら、岡田よしたかさんの絵本を楽しむことはできません。なにしろこのお話、おにぎりたちのこんな会話から始まります。
「ぼくら、ぐ、いれてもらってないねんなあ」 「ぐ、ほしいな。みんなでさがしにいこか」
はだかのままではカッコ悪いと、それぞれお気に入りの服(のり)を着て、自らの“ぐ”を自分たちで探しに出かけるのです。その出かけた先というのは…
海!
広い砂浜におにぎり。目の前に現れたのは巨大なサメ。 なんという景色でしょう。 確かに“ぐ”といえば、シャケ、たらこ、ツナマヨ。 方向性は間違ってはいないけれど。
でも大丈夫、カモメに教えてもらって、彼らは気をとりなおして商店街に出かけます。ここなら自分たちにぴったりな“ぐ”に出会えるでしょうか。
読み終わってみれば、なんとも変なお話です。おにぎりたちは、どうしてそんなに“ぐ”を入れてもらいたいのか。シャケやたらこたちはどうしてそんなに“ぐ”になりたいのか。
だけど一つ確実に言えるのは、登場する食べ物たちがみんな生き生きしているってこと。なんだかずっと楽しそう。表情はないのに、動きだけで伝わってくる。すると美味しそうに見えてくるっていうのが不思議です。気が付けば、口の中にさまざまな“ぐ”の入ったおにぎりの味が浮かんできて……。確かに彼らの言う通り、その出会いが最高に幸せなのもしれません。お腹のすく絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
おさらのうえで、おにぎりたちが話しています。「ぼくら、ぐ、いれてもらってないねんなあ」「ぐ、ほしいな。みんなでさがしにいこか」――。おにぎりたちは具になってくれる食材を求め、旅に出ることにしました。読後、おにぎりが食べたくなる楽しい絵本。読者参加型の遊び心溢れる構成にも注目です。
やっぱり、岡田よしたかさんの絵本、おもしろいなあと思いながら読みました。ぐを探しに行くおにぎりたちの会話に思わずくすっと笑ってしまいます。気が付くと、自分だったら、何がいいかなあと考え、読み終わるころには、おにぎりが食べたくなってました。楽しくて、ユーモアいっぱいのおなかがすく絵本でした。 (あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
|