ぼくの名前はオスカー。 おばあちゃんのことが大好きで、公園で遊んだり、本を読んであげたり、お皿を洗ったり、いつも一緒にすごします。 公園ではぼくより楽しそうなおばあちゃん。 ぼくのおばあちゃんは世界一!
でも、この頃のおばあちゃんは、いろんなことを忘れちゃって、靴を履くようなちょっとしたことができなくなったみたい……。 「ねえ、おばあちゃん、ぼくにできることある?」
本当はずっとそばにいたかったけど、おばあちゃんはお年寄りのためのおうちへ引っ越すことになります。 ある日パパが、おばあちゃんの新しいおうちに連れて行ってくれることになりました! 嬉しいけどちょっとこわいオスカー。 どんなうちに住んでいるんだろう? おばあちゃんの他には、どんな人たちがいるんだろう……。
男の子がはじめて施設をたずねるドキドキや、大好きなおばあちゃんが変わっていく戸惑い、「何かしてあげたい」という思いが伝わってきます。
人間は老いとともに認知する力が鈍くなることを、大人は知っていますが、子どもは知りません。 身近な家族に変化が訪れたとき、どんなふうに寄り添えるか……。 それは親子それぞれにとって大事なことだと思います。
巻末には、認知症についての解説があり、2ページにわたって子どもにわかりやすい言葉で綴られています。 作者のジェシカ・シェパードは、イギリス南部の大学でイラストレーションを学びながら、認知症の介護施設で働いていたことがあるそうです。 施設にたまに小さな子がやってくると、施設で暮らす人たちみんなの表情がぱっと明るくなったのだとか。
歳とともに人は変化していくこと。 世の中には様々なおじいちゃん・おばあちゃんがいること。 本書を読めばきっと、子どもも、自然に心の準備ができます。 老いていく人から子どもを遠ざけるのではなく、こんなふうに一緒に過ごしていきたいと思える本です。 あたたかい線のタッチや、花で彩られたかわいい絵にほっとさせられます。 これからの時代、私たちに何気なく寄り添ってくれる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
ぼくの なまえは、オスカー。 ぼくには、せかいいち すてきな おばあちゃんが いる。 ぼく、おばあちゃんのことが だいすきなんだ。
公園で遊んだり、絵本を読んだり、 楽しい時間をいっしょにすごしてきたおばあちゃんが、 このごろ、いろんなことを覚えられなくなってきた。
認知症になったおばあちゃんや、 おばあちゃんが引っこすことになった介護施設のようすを 主人公自身のことばでつづるあたたかい絵本。
介護施設で働いていた作者の経験から生まれた本書の 巻末には、認知症について話しあうきっかけとなるよう、 解説を掲載しています。
だんだんに変わっていくおばあちゃんへの、愛情と理解を形にした絵本です。認知症ということ、高齢者の介護施設のことを説明しながら、おばあちゃんに何が起きているかが解ります。
オスカーは、どんなおばあちゃんでも好きでいられますね。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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