カルヴィンが誕生日プレゼントにもらったのはロマックス劇場のチケット。催眠術のショーを見てさっそく妹に催眠術をかけてみた。「さあ、犬になるんだ!」と……。村上春樹の翻訳によるシュールでブラックな笑いのある絵本。
お話会に参加している息子の小学校は、行事の切れ目とうい事もあってか、11月は「おこのみ読書」と名うって1年・2年・中・高学年と4回に日を分け、一教室増やし、生徒に好みのテーマの教室で聞くことを選択させるスタイルを取っています。
今回私は、中学年で「韓国のお話」・高学年で「ミステリアスファンタジックワールド」の看板でオールズバーグ作品集を試みてみようかと、この作品を再読してみました。
二つ三つ年下の妹というのは、お兄ちゃんにとって厄介な存在なのかもしれません。
口は達者だし、告げ口も得意。
さらには、女の子というのはえてして早熟気味なのかも。
妹でいて、姉のようなこしゃくな存在だったりして。
この作品の主人公カルヴィンにも妹トゥルーディーがいます。
自分の誕生日の朝だというのに、もはや妹のベッドにいたずらを仕掛け、ママからお小言をもらっています。
さて、誕生日のプレゼントとしてママから貰ったのは、世界的に名高い魔術師であり催眠魔術師のロマックスのお昼のショーのチケット2枚。
隣の仲良しロドニーと連れ立ってショーを堪能したカルヴィンは、興奮冷めやらぬ中帰宅し、妹トゥルーディーに「犬になるんだ!」の催眠術ををかけたところ、見事成功。
犬になってしまったトゥルーディーの表情の気味悪さは、オールズバーグ世界ならではの描写です。
催眠術をかけたは良いが、ママが帰ってくる前に解かなくちゃと思うのですが、・・・。
カルヴィンとロドニーの少年二人の焦りようが、ひしひしと伝わってくる文章。
どうする?どうする?と、「ジュマンジ」・「ザスーラ」に通ずる時間を急くような手に汗握る展開で、しっかりこの世界へ引きずり込まれてしまいます。
少年の後先を考えない悪戯の不始末の展開を楽しんでください。
ラストは、「やられた〜!」と声が出てしまいました。 (アダム&デヴさん 50代・ママ 男の子12歳)
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