昔、山で仕事をしていた若者の額から一滴の汗がこぼれおち、真っ白なユリの花が咲きました。若者がそのユリを家に持ち帰ると、あかりの灯心がゆらめき、花の中から美しい娘があらわれました。娘は若者と一緒に昼は畑仕事、夜はあかりの下で刺繍を刺してくらしました。しかし、働いて裕福になった若者はいつしか遊び歩くようになり、再びあかりの灯心がゆらめいたとき、娘は飛んでいってしまいます……。中国苗族に伝わる民話です。
日本の昔話だけでなく、中国の昔話絵本もたくさん出している赤羽さん。
この本は高学年以上の読み聞かせに向くリストにもありました。
私も読んでみて、高学年以上で読んでみたいと思いました。
ゆりの花を助けたその後は『つるにょうぼう』に似た感じもあります。
トーリンが怠け者になったため、娘が家を出て行く場面、表紙にもなっていますが、金鶏鳥に乗って出て行く場面が、
とてもダイナミックで色遣いも鮮やかだと思いました。
ゆりの花、あかりの花、金鶏鳥の赤、色彩的な美しさもあるお話です。
それだけでなく、一旦怠け者になったトーリンがまた元通りの働き者になるのか
といった心の動きの方もまた一つの見どころで、深い味わいのある昔話だと思いました。
赤羽さんの昔話絵本はその裏に徹底的な取材や時代考証があるので、安心して読める昔話絵本だと思います。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子8歳)
|