ゆらゆら気ままに波まかせ、お気楽ひとり身タコライフ。 ところがあるときちっちゃなアイツが、おいらに抱きつきこう呼んだ。
「とうちゃん!」
ひとりでいるのが好きなタコ「おいら」のもとに、どこからともなくあらわれた、生まれたての赤ちゃん「ちび」。「ちび」は、姿が似ているから「おいら」こそ自分のとうちゃんだというのですが、「おいら」はそれに言い返します。
「おまえの あしは 10ぽん。おいらは 8ぽん。かずが ちがう」
しかし、つきまとわれているうちにすっかり「ちび」のことがかわいくなってしまった「おいら」は、大切に「ちび」を守り、ともに暮らします。
「いっぱいたべて、とうちゃんみたいに おおきく なるんだぞ。」
そうしてすくすくと「ちび」は成長して、すっかり一人前になるのですが……ちょっと、成長しすぎ!?
まさかのオチにびっくりぎょうてん! おおきな「おいら」と、ちいさな「ちび」の、たのし仲良しタコライフ……?
とつぜん「とうちゃん!」とまとわりつかれて、おどろくやら、わずらわしいやら……そうかと思えば「ちび」かわいさに、眉をたらしてにっこり笑う。感情ゆたかなそんな「おいら」の、少しとぼけた表情が魅力的。そしてなにより、ちんまり、ちょこまかと「おいら」のまわりを泳ぐ、「ちび」のかわいさがみどころです。
意外な展開にくすりとさせられる本作ですが、その中には子の成長にしみじみ感じ入る親の切なさ、誇らしさが描き込まれていて、「おかしい!」「かわいい!」だけじゃない、ほっこりとあたたかな読後感があります。
とぼけた顔で頼りがいのある「おいら」と、たくましく成長するかわいい「ちび」の、ユーモラスな絆の物語です。
(堀井拓馬 小説家)
ゆらゆらゆらーり。ゆらゆらり。気の向くままにひとりで生きていた「おいら」が、ある日突然「とうちゃん」と呼ばれる!くっついてきたちびすけはどうやら生まれたばかり。「ボクととうちゃん、そっくりだよ!」というけれど、ほんとうかなあ。でもだれかに頼りにされるのは悪くない。ちび!いっぱい食べて大きくなれよ!そしたらちびは、どんどん、どんどん、大きくなって…?!
足が10本ということは…、
ちびの正体が何となく想像できていたのですが、とんでもない生き物で仰天しました。
ユーモラスな絵で楽しさも倍増して来ました。
お父さんがちびすけに見えて来る対比がたまりません。
子どもたちも喜んでくれそうです。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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