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かえるくんと仲間たちが、草むらで動かなくなった小鳥を見つけます。死、そしてめぐりめぐるいのちへの深い思いが語られる絵本。
かえるくんシリーズの一冊で「死」を扱ったものです。
幼い子どもは「死」が何であるのか理解できません。
お話の中でも、道端に横たわる「とりくん」を見て、かえるくんやその友達は、「どこかわるいんじゃないのかな・・」とか「ねむっているのよ」とか互いに話をします。
でも、のうさぎくんがやってきて「しんでるんだよ」と言った瞬間、かえるくんが「しんでるって?」と動揺します。
「このよのなかにあるものはね、みんな、いつかはしんで、あのよへいくんだよ」とのうさぎに言われ、かえるくんは、いつか自分たちにも死が訪れることを何となく理解します。
そして、みんなで「とりさん」のために、穴を掘って「とりさん」をねかせ、花を投げ入れ、土をかぶせ、きれいな石を置いて、お墓を作ってあげます。
お墓が完成した瞬間、あたりに静寂が漂い、「とりさん」の死がじわじわ実感され、皆無言で帰途につきます。
ところが、突然、かえるくんが駆け出して「おにごっこしよう!」といい、結局、皆で日が暮れるまではしゃぎまわります。そして、最後に「いきてるって、すてきだね」とかえるくんが言います。
大人と子どもの悲しみの表現の仕方は、時に異なります。
「とりさん」の埋葬が終わった直後なのに、はしゃぐなんて節操がないと眉を顰める大人がいるかもしれません。
「喪に服す」という言葉があります。
けれども、子どもの場合、「遊ぶ」という行為が悲しみを乗り超えて、元気を取り戻すのにかなり役に立つことがあります。なので、どうか眉を顰めず、暖かく子どもを見守る大人であってください。
子どもの「死」の理解の仕方やその後の反応が生き生き描かれた本だと思います。 (朧月夜8玉鬘さん 30代・その他の方 6歳)
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