子犬のパッチには、好きなことがいっぱいあります。アウー!と吠えることや、ガシガシかくこと、食べること、ぱくっとくわえること……。でもパッチは子ネコが好きなわけじゃありません。だって小さな子ネコたちは、パッチにすりすりしたり、ぺろぺろなめたり、ドーン!と上に乗ってきたり……。どこでもついてきてなんでも一緒にやりたがるんですもの。そりゃあ、パッチだって眉間のあたりにぎゅっと力が入ってしまいます。
おやつや棒きれを「わけっこ」はまだガマンできても、青い毛布だけはイヤ。これがないと眠れない、特別な毛布なのです。だけど子猫たちはお構いなしに毛布にじゃれて、ぐちゃぐちゃ、ぺろぺろ、うんちまで。ついにひっぱりあいになった毛布は「ビリッ!!!」と破けてしまって……!?
「だれかと何かをわけっこする」戸惑いや喜びを描いた絵本。入園時や、小さな弟や妹ができるとき、子どもの不安に寄り添いながら読んであげたい絵本です。パッチは、いらだちもあるものの、だんだん新しい「好き」を感じていくみたい。子ネコたちを見守りながら、仲良くなっていくパッチの成長が描かれます。
作者のデイヴィッド・メリングはロンドン生まれ。イギリスの人気作家のひとりで、その幼年向け絵本は世界各国で翻訳出版されベストセラーになっています。もともとはアニメスタジオでセル画や背景画の制作に携わり、1990年代半ばより絵本の挿絵を手がけるように。2002年に発表した初の自作絵本「The Kiss That Missed」ではイギリスの絵本賞「ケイト・グリーナウェイ賞」の最終候補に選ばれています。
とにかくパッチも子ネコたちもかわいらしく、体の線や、顔の表情が豊かで、和みます。赤、青、黄、緑などパッと目をひきつつシックな色づかいがとてもおしゃれ。このシリーズは現在『こいぬのパッチとみどりのもこもこ』『こいぬのパッチとあかいレインコート』も刊行中。3冊並べて手元に置きたくなります。愛犬家、愛猫家の大人にもおすすめ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
子犬のパッチ、なかよくわけっこできる?
イギリスのベストセラー絵本作家デイヴィッド・メリングが手がけるプレスクール絵本シリーズ。 主人公の子犬のパッチは、読者の園児達と同じように、日常生活の中でいろんな出来事を経験し、自分の周りの世界について学んでいきます。好きなこともあれば嫌いなこともあるし、はじめてのことだってたくさんあります。 本作「ちいさいこねこ」では、分けてあげることや、一緒に使うことなど、だれかと何かを共有するときに生じる気持ちを描きます。
【編集担当からのおすすめ情報】 子犬のパッチにじゃれつく子猫たちも、またかわいい絵本。パッチは自分の大切なものを、小さな子猫たちとわけっこするのはイヤなのです。 パッチの素直な気持ちに寄り添いながら、少しずつ成長していく様子を見守る絵本。年下の子と遊ぶことが多くなった子とも達への読み聞かせにオススメです。
パッチという犬は
好きなことがたくさんあるけど
ちいさいこねこたちの事は
あまり好きじゃないようです。
でもこねこたちは絵本を読む限り
とてもパッチがすきなように見えました。
他の生き物と共存すれば
いろんなものを分けないといけない。
でもお気に入りのものは分けたくない。
その気持ちがとても伝わりました。
ずっと一緒だと気持ちって変化していきますね。
(ジョージ大好きさん 40代・ママ 男の子14歳)
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