
小川未明の名作『野ばら』あべ弘士により絵本化! 舞台は大きな国とちいさな国の国境。そこには、両国から一人ずつの兵士が派遣されました。次第に仲良くなっていく二人をよそに、国同士は戦争を始めます。

「野ばら」は、小川未明の作品の中でも好きなお話です。
それを、あべ弘士さんが描くというので期待を持って手に取りました。
いろんなところで、堀尾青史さん脚本の紙芝居の「のばら」を演じていたので、意外感と新鮮味を味わいました。
それにしても、国境で知り合った二人の兵士の関係には、心を洗われます。
将棋をさし語り合うようになった青年兵と老兵が、戦争の勃発でどうして憎しみ合う関係になれるのでしょう。
この作品はヒューマニズムで成り立っています。
今の世界で起きている凄惨な殺し合いとは全く異次元の世界です。
同じ人間であるということを忘れてしまったら、人は獣になってしまうのだなぁと痛感しました。
青年兵は戦場で亡くなり、老兵は国境を去りました。
平和の象徴のように描かれた野ばらは枯れてしまいます。
人が愛でてこそ野ばらは咲き続けるのでしょうか。
あべ弘士さんが描くからこそ、一段と平和への願いを感じました。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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