ママの妹、絵かきのルーちゃんは、食べるものがなくなると。うちにころがりこんできます。 そして、いつもとは違うわくわくした日々が始まるのです。つんちゃんが学校の友達のことを 話すたびに、ルーちゃんは絵を描きながら、それとはちょっと違った子の話をしてくれます。 つんちゃんのお話と、ルーチャンの描く絵が混ざり合った、ふうがわりなお話をきくと、 つんちゃんはいつも頭の中がくるっとして、いろんなことを思いめぐらし考え込むのです。 著者の初期作品、待望の新装復刊。
総ページ101。小学中学年向きぐらいのお話だと思います。
ルーちゃんというのは、私のお母さんの妹のこと。画家を目指してきちんとした仕事についていないため、食べ物がなくなると私の家にやってきます。
私がルーちゃんに学校であった話をすると、ルーちゃんはその話を元にオリジナルなお話をしてくれます。
私が気に入ったのは木曜日のポリーのお話で、ポリーは切手を集めていて、その切手を床下に住んでいる小人たちにあげます。小人たちはその切手を小さな額縁に収めてギャラリーにしているというお話でした。
読んでいて、子どもの頃いろいろな話を空想したり本の世界のことを考えていた少女の頃を思い出しました。
主人公の「わたし」がルーちゃんの出来上がった絵を見て感じた言葉が心に残りました。「楽しいきもちになるのは、不可能じゃなかったんだよ、ママ。ちょっとしたくふうをすれば…つまり、すこしばかりかわった見方をするとかさ…」。
ルーちゃんは、子どもの学校であったお話を聞いて、助言や励ましを言うわけではなく、別のお話をします。その間に、「わたし」は別世界で遊び考え、また現実の世界に戻ってきて、いつの間にか現実で消化しきれなかったことを消化していきます。逃げているわけではなくて、空想の中で遊んでいるとでも言ったらいいのでしょうか。
それは現実から放課後の寄り道のような時間が、子どもにとっても大人にとっても必要なのかもしれません。
ルーちゃんは現実的でもなく教訓的でもないけれど、いつも「わたし」の味方です。こうして、子どもと付き合ってくれる大人が一人でも多く存在するといいなと思いました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子6歳)
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