大切な日本の読者のために─── ガブリエル・バンサンが描きあげた“魂の自画像”
村の学校の先生は、よく壮大なピラミッドの話をされる。ナビルは見たくなった。その大きなピラミッドを、わが目でたしかめたくなった。砂漠を歩き、ひたすら歩いていって、たしかめるんだ……。一年ものありだ、ナビルはそのことを夢見ていた。その夢がいつかかなうことを、ねがいつづけてきた……。砂漠を歩き、ひたすら歩いて……。『アンジュール』『たまご』『マリオネット』……。数々の名作を生みだしてきたバンサンが、特別な熱意を傾けて完成させた、初めての日本版オリジナルのデッサン絵本。砂漠と、そこで力強く生きる民への限りない愛と憧憬をこめて、少年の“夢を歩いた旅”を追います── 。見る者の胸の奥に語りかけてくる、深い精神性が息づく絵の連なりから、孤高の画家バンサンの“心の原風景”が果てしなく広がります─── 。
ピラミッドを見たいと願う少年が、周りの大人の「無理だよ」という意見をものともせず、一人で見に出かけます。途中、幾人か協力してくれる大人がいて、最後には、夢にまで見たピラミッドを自分の目で見ることができます。
強い信念は、周りの人をも動かす、夢は強く思えはかなうものだ、そのためにはまずは行動してみることが大切だという、というメッセージがはっきりと伝わってきます。
鉛筆?だけで描かれたシンプルな絵とぎりぎりまで無駄を省いた文章が、ナビルの強い信念をより際立てせています。
ピラミッドを見たナビルが、ピラミッドに登ったり、触ったりしている姿がとてもほほえましいです。 (ほかほかぱんさん 40代・ママ )
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