タイムマシンはつくることができるのか? 少年の問いに“それ”は答えます。 「できるとも。地球人でも、それをちゃんとつくった人がいた」 その地球人は、わたしたちのよく知っているとある人物だというのですが─
少年が出会ったひとつのかんづめ。 これがふつうのかんづめだったらもちろんお話にはなりません。 かんきりをあてがわれて思わずやめろと叫ぶそれ、中身はなんと宇宙人。 かんづめのなかの宇宙人は、少年に不思議な物語を語って聞かせます。
タイムマシンを作ったとある有名な地球人の話。 とつぜん命の宿った犬の人形の話。 物を小さく縮めることのできる機械を発明したどろぼうの話。 かつて宇宙から飛来した、ある地球の生物に似た地球外生命体の話。 宇宙の「はしっこ」とはどういうものかをたとえたおとぎ話。
元々1967年に発表された作品ながら、まるで古くささを感じさせないアイデアに彩られた、SFの楽しさのお手本が詰まったような一冊。 宇宙の彼方や、未来の技術への好奇心をくすぐる五つのお話が、素直なわくわくを感じさせてくれます。
ところで、どろぼうが発明する物を小さくする機械というのがドラえもんのスモールライトに似ているのですが、スモールライトが初めて登場したのは1973年。 そう、なんと本作のほうが古いんです。 おおよそ半世紀も前に想像された宇宙や、未来の姿が描かれているのだということをふまえて読んでみると、また違った味わいの読書体験になっておもしろいですよ!
(堀井拓馬 小説家)
ぼくがスーパーマーケットで出会ったのは、おしゃべりをする不思議な「かんづめ」。地球を調査するために、遠い宇宙からやってきたらしい。かんづめがぼくに話して聞かせてくれるのは、奇想天外なお話の数々───。 だけど、かんづめの中は、いったいどうなっているんだろう……?
佐藤さとるさんと言えば、コロボックルをはじめ、身近な自然物を描かれている印象だったので、「宇宙人」「タイムマシン」などの題材に驚きました。
新しい試み!?と思いましたが、執筆は1967年とのことで、さらに驚きです。文体もとても現代風に思えるのですが。
缶詰に入った宇宙人が、おもしろい話を聞かせてくれるお話です。
ひとつめは、川に落ちた「桃」のタイムマシンの話。すぐにピンとくるユーモアが、子ども心をグッとつかんでいました。
「とんがりぼうしの高い塔」も、『なぜだろう…?』と考えさせられるミステリーが刺激的で、真剣に読んでいました。
私はコロボックルシリーズや「てのひら島」などが大好きなのですが、子どもたちはまだとっつきにくい様子です。
一方、こちらの「宇宙からきたかんづめ」は、するりと楽しんで読んでいました。ユーモア色が強いためでしょうか。挿絵も子どもたちに馴染みやすかったのかと思います。
(やじみさん 30代・ママ 男の子9歳、女の子7歳)
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