「たまごサーカス」。なんてスリリングなネーミングなのでしょう。 想像するだけでヒヤリとしてきちゃいますよね。
実際に「ぼく」もピエロの真似をして卵をほうりなげ、 ぐしゃっ!!と、割ってしまったばかり。 おかあさんに叱られ、ふてくされてベッドに入ると…つんつん、こしょこしょ。 足をくすぐっていたのは、なんとたまごのピエロ。 彼らに招待されたぼくの目の前に広がっているのは、豪華絢爛たまごの大サーカスです!
色とりどりに着飾った観客たちを前に、団長が声をかけると音楽が始まります。 ♪われやすいのがたまにきず〜 切実な表情をして歌い上げられちゃったら、心配になってきちゃうのだけれど、 ♪そんなことにゃあ まけられない いつも えがおでうたうのさ なかなか頼もしいたまごたちなのです。 お手玉みたいに小さなたまごを放り投げたり、大きな熱々のフライパンを振り回したり。 なんといってもメインは空中ブランコ! いち、にの、さん…びゅんっ!!つるりっ!! 「あ、あぶない!!」
色鮮やかな衣装に包まれて、明るく時には不気味に笑顔を向けるたまごたち。 繊細なコラージュで美しい舞台、ユーモアたっぷりの表情、不思議な世界をつくりあげているのは絵本作家ふくだじゅんこさん。目が離せなくなる魅力があります。 ハラハラドキドキの展開ですが、最後のブランコのりのセリフにはしびれちゃいますね。 「みんなさわぐんじゃねえ。われるのがこわがってちゃ りっぱなたまごとは いえねぇぜ」
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
広場でみたピエロの真似をしていて、たまごを割ってしまった男の子。まよなか、たまごのサーカスに招待され…。ハラハラドキドキ、最後にニッコリの大サーカス、はじまりはじまり!
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展に3回入選
★作者のふくだじゅんこさんが直筆メッセージを描いてくださいました!
作者はイタリア・ボローニャ国際絵本原画展で入選したこともある方だそうで、とても魅力的で個性的な絵でした。
この作品は描かれている人物や物がすごく立体的に見えるのですが、
これはただのコンピュータ処理ではなくて、最初から紙の上にパーツパーツで絵を貼っているのでしょうか。
途中空中ブランコをしている男性のタマゴが、落ちてしまい、頭のところが少し欠けてしまうのですが、その時
「いや〜、ふろに はいっておいて よかったぜ。
すっかり ゆでたまごに なっちまった。」
というセリフがなかなかよかったですね〜。それによく観察して読んでみると、この空中ブランコの乗り手さんは、相棒の女性のタマゴが奥さんで、可愛い息子(?)もいる設定になっているのが、端々に描かれているのが見えました。
こんなふうに変に説明的な文を入れずに、物語の中の設定が見えるところが楽しかったです。
こういう風に分以外の部分をじっくり見て楽しめる作品は、読み聞かせに使うより、ブックトークとして紹介する方がいいかな〜と、思いました。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子13歳)
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