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あの不条理なできごとにより、父と離れ避難生活を余儀なくされる少年。眼前の海に故郷の海や友人たちを重ね、寂しさが募る。電話先の父はそんな弱気を見通して「はしることは いつもひとり」と諭すが……。
福島の原発事故をモチーフに、故郷とは何か、自立とはいかなることか、そんな問いへの答えを、少年の成長と悟りの中に託した絵本。困難の先にある希望を、きっと感じ取ることができるだろう。
小学校6年生の読み聞かせに使いました。
東日本震災の津波と、福島第一原発の爆発で、故郷の富岡町を離れ、青森の浅虫の親戚に身を寄せた少年が、走ることで自分自身に問いかけ、自分自身の答えを見つける、お話(詩)です。
浅虫と富岡の海の風景の対比、忘れられない津波の恐怖、きむらゆういちさんの荒々しい絵が、問いかけるように迫ってきました。
そして、何より「走る」という行為の中に、父親が込めた意味をしっかりと受け止めた少年は、走ることの孤独の中で自分自身を乗り越えるという素晴らしい成長を遂げたことに、拍手をしたいと思いました。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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