串を使った美味しいものはこの世にたくさんあるけれど、それらがみんな同じ串にささっていたら?!
「きみら、はよ じぶんの くし さがしや。 きゅうくつで かなわん。 わし、はよ、タテに なりたいんや」
そう関西弁で話すのは自分の体(カツ)を横にさして、その上にみんなをのっけてるくしカツさん。 そのみんなって一体だあれ? 一番上にのっかってるのは、甘いたれがベトベトたれてみんなからうっとうしがられてる「みたらしくん」。 二番目にのっかってる二人組みは、やきとりの鶏肉と喧嘩した「ねぎくん」たち。 三番目にのっかってる長い白いのは、秋田名物きりたんぽの「たんぽくん」。 なんだか、みんな見るからにわけありです。 そうはいっても、面倒見のいい「くしカツさん」だって いつまでも自分の串にみんなをさしているわけにはいきません。 ですから、それぞれの串をさがしに出かけることになりました。 さてさて、この珍道中一体何が待っている?
この絵本の魅力はなんといっても全編を通してやりとりされる漫才のような「くしカツ」さんたちの会話。 ユーモアたっぷりのお話と関西弁がたまらなくぴったり。特徴的な食べ物たちのほんわかした会話になんとも癒されます。それぞれの串との別れの場面やみたらしだんごをのせたくしカツさんが歩く後姿がせつない夕暮れの場面など、情緒溢れる岡田よしたかさんの絵の魅力もたまりません。
子どもたちはどんな反応するのかな。一人でじっくりとナンセンスワールドを堪能するのもよし、 みんなに読み聞かせしても楽しい一冊です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
くしカツさんの串には、なぜか一緒にネギやら、みたらしだんごやら、きりたんぽ鍋のたんぽやら……。「きみら、はよ自分の串さがしや。きゅうくつでたまらん」くしカツさんは、早く縦になりたいので、みんなの串をさがしに行くことにしました。
みたらしくんは、隣のだんごにベタベタするから嫌だといわれ、ネギくんは隣の鶏肉とケンカをして、たんぽくんは火であぶられていたら、熱くて飛び出してしまったようです。
串をさがしていると、お箸やまち針などにであいますが、どれもみんなの串ではありません。途中、黒猫がネギのない焼き鳥を狙っているところに遭遇しました。すると、くしカツさんの串にささっていたネギくんが黒猫に襲い掛かり、焼き鳥を助けたのです。やっとネギくんと焼き鳥が仲直りをしましたが、まだくしカツさんの串には、だんごとたんぽがささっていて……。
大阪弁なのか、はたまた関西弁と大きく括ったほうが良いのか分かりませんが
ほんわかぱっぱな言葉のマジックにかかっちゃう感じで
終始にんまりしながら読ませていただきました。
読み進めていくうちに、串と離ればなれになってしまったきりたんぽ、
焼き鳥の葱、みたらし団子達を元の居場所に送り届ける串かつが
人情味溢れる大阪のおじちゃんに思えてきます。
セリフの掛け合いや悪者(?)の猫が登場しあっけなくやられてしまうくだりも
新喜劇風で面白いです。
喰いだおれの街、お笑いの聖地が舞台なのは間違いないでしょう。
私がとくに心ひかれたのは、みんなにべとべとのたれを嫌がられるみたらしくんのキャラクター。
何を言われてもきっちりさらりと言い返す、
言い負かされないところがいいなぁなんて思いました。 (西の魔女さん 40代・その他の方 )
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