昔、ひとりぐらしの貧乏なおばあさんが家に帰る途中、道端で金貨の入った壷を見つけました。すっかり豪勢な気分になり、壺をショールに結わえて引いて帰りましたが、一休みしてふりかえって見ると、壷は銀のかたまりに変わっています。このほうが気が楽だと思ってまた歩いていくと、次にふりかえった時には鉄に、次には石に、あげくのはてに……。楽天的で豪快なおばあさんのお話です。(「こどものとも」263号)
ある日、貧乏なおばあさんが、壺いっぱいの金貨を拾いました。そして、思わず、お金持ちになって優雅にお茶を飲んでリッチなお部屋で寛ぐ自分の姿を頭に思い浮かべます。
ところが、家に運びながらもう一度見ると、なんと金貨は銀の塊に変わっていました。そこで、今度は、さっきよりもちょっとだけランクダウンした暮らしぶりを頭に思い浮かべ、にんまり。
振り返る度に、どんどん価値が下がった物に変わっていくのですが、その度に、がっかりするでもなく、にこにこと妄想に耽るおばあさんの幸せそうな姿が、なんとものんびりしていて、見ていてなんだかこちらまで幸せ気分になってしまいます。
最後には、とんでもないものに、変わるのですが、それでもおばあさんは、最後までにこにことして、笑顔。
何かを失っても、こんな風に落ち込むことなく、現状に満足して、にこにこと笑顔を忘れなければ、人間それなりに幸せに暮らせるのかもしれませんね。 (はなしんさん 30代・ママ 女の子9歳、男の子6歳)
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