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人種について考えさせられる絵本
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投稿日:2011/01/09 |
2005年度のコールデコット賞オナー賞受賞作品である「かあさんをまつふゆ」のジャックリーン・ウッドソンの新しい邦訳なので読みました。
最近、こうした人種差別が背景にある絵本が多く出版されていますが、読む選択肢が広がるということは、非常に望ましいと思っています。
特に、さくま ゆみこさんが、積極的に邦訳され、埋もれている作品を読むことが出きるのは嬉しい限りです。
原題は、The Other Side、2001年の作品。
『そのなつ、まちをしきる さくが、いつもより おおきく みえた。
わたしたちは、さくの こっちがわに すんでいた。
さくの むこうがわには、しろい ひとたちが すんでいた。
「むこうがわに いっては だめよ。きけんですからね」
ママは、そう いっていた』
という書き出しで始まりますが、この一文で全てが分かります。
そう、人種問題の根底にあるものを描いているものです。
その柵が、実に象徴的な存在。
主人公の黒人の女の子、クローバーは、多くの黒人の女の子と遊んでいるのですが、柵の向こうにいるアニーという白人の女の子は一人ぼっち。
ある日、アニーは柵の向こうから、「縄跳びに入れて」と言ってくるのですが、サンドラという友達が、「だめ」と即座に断ります。
でも、クローバーはアニーのことが気になって仕方ありません。
お互いが、柵を越えてはいけないとママに言われているので、二人は、柵に腰掛けて話をするようになるのです。
そのことに対するママの「あたらしい ともだちが できたのね」という言葉が、何とも素敵です。
本当は柵なんか要らないのに、打破できない大人の世界に対して一石を投じた行為を肯定したママのような大人が増えれば、こんなわだかまりは無くなるはずです。
子ども達の純粋な気持ちに、感銘すること間違いありません。
人種に国境がないということ、そんなことをさり気無く伝えてくれる名作だと思います。
物語もさることながら、E.B.ルイスの描く絵は、光による表情の明暗や、風による洋服の動きまでも描写していて、実に生き生きとしたもの。
一見の価値のある絵だと思います。
読み聞かせというよりは、小学校低学年に、自ら読んで感じて欲しい作品としてオススメします。
ジャクリーン・ウッドソンの作品は、未訳のものが沢山あります。
書店に、ジャクリーン・ウッドソンの作品コーナーが誕生する位に、邦訳が進む日が来るのを期待しています。
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親の方が共感できる作品
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投稿日:2011/01/09 |
2010年のクリスマスシーズンに合わせて発刊されたもの。
クリスマスのプレゼントにまつわる物語です。
登場するのは、お母さんと姉弟。
主人公はお姉さんで、「おかあちゃんは、どうして サンタさんに プレゼントを おねがいせえへんの?」という書き出しで始まります。
おかあさんは、何でも 自分のことは 後回しなんやという心の声がありますが、正しく世のお母さんのことを鋭く表現したものだと思います。
そんな姉弟が、お母さんのために欲しがっているバッグを福引で当てようとするのがメインのストーリー。
途中、姉弟のやり取りに泣けるシーンもあるのですが、それは、あくまでも親が読んだらの話。
余りにも物語を創作している感が強すぎて、一寸馴染めない部分があると思いました。
それと気になったのが、お父さんが登場しないこと。
そうした家庭設定なのかも知れませんが、この点も作り過ぎの気がしました。
昭和の良き時代を彷彿させる絵は、郷愁があって大人にとっては良いのですが、現代らしい福引を描いた方が良かったのでないかと思います。
私自身は、お母さんと行った小さい頃の福引がとても懐かしく思いましたが、年少くらいまでの読み聞かせが良いと思います。
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前作を読まないと評価が難しい
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投稿日:2011/01/09 |
長谷川集平さんと言えば、「はせがわくんきらいや」でデビューしたことで知られ、「ホームランを打ったことのない君に」が良かった記憶のある作家です。
今回の作品は、1978年の「トリゴラス」の続編とのこと。
「トリゴラス」が評価の高い作品なのですが、続編まで32年もの空白期間があるという稀有な作品です。
残念ながら、「トリゴラス」はまだ読んだことがなく、続編からのスタートなので、評価が難しいところです。
また、トリゴラスが出現するシーンから始まりますが、ウルトラマンシリーズに登場したベムラーを彷彿させる怪獣です。
ぼくは、トリゴラスに連れ去られて、南の島に着くのですが、そこには、かおるちゃんが・・・。
どうも、夢の中のお話しのようなのですが、続編からだと、トリゴラスの存在意味とか、かおるちゃんの設定が分からず、評価のしようがないというのが本音です。
単独の作品で考えると、良くて普通というところかと思いますので、「トリゴラス」を読んでから再評価したいと思います。
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動物の表情が魅力的
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投稿日:2011/01/09 |
いとう ひとしさんの作品は数多く出ているのですが、今まで読んだことがなく、この作品が最初になります。
ルラルさんシリーズは、現在6冊。
2001年9月の「ルラルさんのにわ」「ルラルさんのバイオリン」「ルラルさんのごちそう」の3冊が第1弾のようです。
ルラルさんは、自慢の芝生の庭に誰かが入ろうとすると、得意のパチンコで追い払うのです。
キツネ、ネコ、ネズミ、カメ、ヤモリ、鳥なんかがひっくり返ったり、逃げたりで大変な騒ぎです。
ある日、庭に大きな丸太を発見したルラルさんが、蹴ろうとすると、何とそれはワニ。
何ら脈絡のないワニの登場から、物語はナンセンス物語に一気に突入し、最後のページに登場する動物の数と言ったら、それこそ有り得ないもの。
我家では、誰もナンセンスのジャンルは好きでないのですが、この類だったら結構楽しめます。
絵の色調が、何処かにしかわ おさむさんに似ているところが、受け入れられたのかも知れません。
年中ぐらいまでの読み聞かせにピッタリの作品だと思います。
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擬人化された動物達が秀逸
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投稿日:2011/01/09 |
ターシャ・テューダーは、アメリカで最も愛されている絵本作家のひとり。
アメリカ人の心を表現する絵と言われていて、クリスマスカードや感謝祭、ホワイトハウスのポスターに使われています。
コルデコット賞オナー賞受賞作家。
園芸家としても知られており、30万坪の土地に住んでいた時のスローライフは日本でも注目され、書籍も沢山残されています。
そのターシャが、愛犬・コーギ犬のケイレブを主人公にして作ったのが、本作品。
登場するのは、ターシャの欠かせないパートナーであったコーギの他、ウサギ、猫、ニワトリ、ヤギ、カラス等、全てターシャが飼っていた動物達と、トロルという妖精達で、コーギビルという村を舞台に物語が展開します。
何と言ってもこの本の魅力は、ターシャが擬人化して描いた動物達のその生き生きとした表情です。
精緻としか言いようのない擬人化した動物達は、一見の価値ありです。
動物を擬人化した作品は、数多かれど、ここまで見るものを魅了する作品はお目にかかったことがありません。
今まで読んだターシャの作品は、写実的で綺麗なものばかりだったのですが、ターシャの別の魅力に圧倒されてしまったというのが、第一印象です。
物語は、アメリカの田舎の村祭りを描いたものですが、クリスマスとともに年間の最大イベントということが、良くわかるものです。
典型的な村祭りの光景が一面に展開しているのですが、その賑やかなだけでなく、食べ物の匂いまでもが伝わってくる、そんな感覚に陥ってしまいました。
楽しさだけでなく、ハラハラさせる伏線もあって、実に良くできた展開の作品だと思います。
読み聞かせするには、分章が若干多めですが、絵を見るだけでも満足できる作品なので、是非オススメします。
この作品は、3部作なので続けて読む楽しさもあり、ターシャが、益々好きになりました。
絵本作家としてのターシャの人気の理由が分かる作品です。
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絵を見て楽しむ作品
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投稿日:2011/01/09 |
2006年度のコールデコット賞オナー賞受賞作品。
動物を乗せた初の熱気球実験飛行を描いた絵本で、1783年の実話が元になっています。
熱気球に搭乗したのは、アヒル、ヒツジ、オンドリの三匹。
無事着陸するまでを描いたものですが、その行為のみならず、表情が実に愉快。
読んでいて何かに似ていると思ったのが、「ブレーメンの音楽隊」。
「ブレーメンの音楽隊」に登場したのは、ロバ、犬、猫、オンドリでしたが、この作品は、あの「ブレーメンの音楽隊」の楽しさを熱気球という歴史的事実に盛り込んだものと言えると思います。
作品には分章がないので、絵だけを見て楽しむタイプのもの。
その躍動感溢れる絵は、見る度に楽しさを伝えてくれると思います。
擬音が若干あるので、その擬音を上手く表現して、説明しながら読み聞かせするしかないのですが、一寸難しいかも知れません。
巻末には、熱気球の歴史もあって、充実した内容となっていると思います。
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実話に基づいた絵本
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投稿日:2011/01/09 |
ニューヨーク市マンハッタンのウエストサイド地区に、かつて「高架鉄道」と呼ばれた鉄道がありました。
この高架鉄道は1930年代に建設され、1980年に貨物路線が廃線となった後、取り壊される予定でした。
その高架路線の跡地は、2009年6月9日、公園として生まれ変わり、マイケル・ブルームバーグ市長などが出席して開園式典が行われたのです。
ハイライン・パーク(High Line Park)と名付けられたこの公園からは、ハドソン川(Hudson River)が見渡せ、ニューヨーク産業史の面影もかいま見ることができるのです。
そのハイライン・パークをモデルにしたのが、この絵本です。
物語は、
「むかしむかし、あるところに、庭のない街がありました。
庭どころか、1本の木も、小さな草むらさえもみあたりません」
という書き出しで始まります。
絵も、暗く、コンクリートジャングルというに相応しいもので、もちろん、緑はありません。
そこに登場するのが、主人公のリーアム。
古い鉄道の下を歩いていたら、線路へ上がる階段を見つけ、駆け上がるとそこには、線路と枯れる寸前の草木があったのです。
リーアムは、その草木の面倒をみるようになるのです。
すると、草木は、自らの意志を持つかのように拡大して、鉄道路線を全部埋め尽くすのです。
一冬越し春になると、草木は、もっといろいろな所に生えるようになります。
すると不思議なことに、リーアムのように面倒を見る人達が現れ、緑の街にと変身を遂げるのです。
最初と最後のページは、同じ街なのに、全く別物。
自然の力の凄さを感じずにはいられなくなることでしょう。
実際のハイライン・パークの写真を見ると、確かに高架路線が、緑溢れた長く続く公園になっています。
そんな実話に基づく話だからこそ、創作にはない魅力に溢れていて、読む者をぐいぐいと引き込んでしまうのでしょう。
自然の営みを考えるにはうってつけの内容で、咋今の環境問題に関心を持つ糸口になるような側面もある絵本だと思います。
絵自体もとても綺麗なので、見るだけでも楽しむことのできる完成度の非常に高い絵本としてオススメします。
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抒情詩のような絵本
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投稿日:2010/12/26 |
2005年度のコールデコット賞オナー賞受賞作品。
最近、こうした人種差別が背景にある絵本が多く出版されていますが、読む選択肢が広がるということは、非常に望ましいと思っています。
書かれていませんが、おそらく、時代背景は第二次世界大戦中。
アフリカ系アメリカ人の家族の男性達は、出征しているというシチュエーション。
住んでいるのは、大都会シカゴから離れた田舎町というところでしょうか。
物語は、主人公である女の子のエイダ・ルースに向かって、かあさんがシカゴに出稼ぎに行くという話をしているシーンから始まります。
男性が出征したため、機関車を洗う仕事が、黒人の女性でも募集があるというのです。
かあさんが出かけてからは、エイダ・ルースと祖母の二人だけの生活になるのですが、克明にエイダ・ルースの心情が描かれています。
手紙を書くといっていたのに、かあさんからの手紙は来ず、エイダ・ルースは手紙を出すばかりで、安否も含めて不安が募ります。
エイダ・ルースは、いつも外を見つめていますが、E.B.ルイスの描く絵は、光をあてることによって、その明暗を上手く表現しています。
揺れる心情を、絵が象徴していると言ってもいいのではないでしょうか?
最後に、かあさんからの手紙が届きます。
読み手も安堵するシーンですが、手紙の持つ意味の大きさを再認識しました。
何度も何度も手紙を読み返すという一文に、心を揺り動かされる人は多いはずです。
全体を通じ、抒情詩のような作品です。
対象は間違いなく大人向き。
いろいろな局面で、親子の関係を考える時に読み返して欲しい作品としてオススメします。
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ユーモアセンス抜群
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投稿日:2010/12/25 |
カンタン・グレバンと言えば、「ウルフさんのやさい畑」「カプチーヌ」等でお気に入りの作家の1人です。
この作品は、「ねぇパパ、どうしてシマウマはローラースケートをはかないの?」の続編にあたります。
「ねぇ、ママ、どうして キンギョは サメが すきじゃないの?」
「それはね、サメが いっしょだと きゅうくつだからよ」
という問いから物語は始まります。
サメとキンギョが丸い水槽に一緒に入っている絵は、キンギョがサメと水槽のガラスに見事に挟まれているもの。
有り得ない絵なのですが、思わず笑ってしまいました。
こんなママと女の子の質問が続くのですが、どれもこれも、ユーモアに満ちたものばかり。
全部が全部、腹を抱えて笑えるものという訳ではありませんが、水準は高いと思います。
子どもよりも、大人の方がこのセンスに惹かれる気がしますが、絵を見るだけでも、かなり楽しめます。
きっと、誰でも気にいる一枚の絵が、あるはずでしょう。
幅広い層に対応する絵本だと思います。
題名の問いの回答は、裏表紙にあるので忘れずに。
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新し物好きのサンタ
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投稿日:2010/12/25 |
クリスマスの時期なので、読んでみました。
原題は、Countdown To Christmas
物語は、サンタじいさまのおもちゃ工場で、小人たちがせっせとおもちゃ作りをしているシーンから始まります。
何を思ったか、サンタじいさまは、お決まりのサンタグッズを一新しようとします。
トレードマークの袋は捨ててしまうし、ソリはサイケ調に塗ってしまうし、来年はジェットソリにして、トナカイをお払い箱にしようとさえ考えているのです。
その話を聞いたトナカイ達の打ちひしがれる姿が、何とも言えません。
新調した袋は物が沢山入らず、さらに、ソリとトナカイを空に飛ばせる魔法の袋だったことがわかり、サンタじいさんの袋探しが始まるのです。
ストーリーの発案自体は良いと思うものの、あまりに袋を探す部分が長すぎて、間延びした展開になっています。
新しもの好きなサンタという設定なので、もっと思い切った話にした方が古きよき物が際立ったと思うのですが、余りに中途半端。
心に響くようなストーリーに至っていないのが残念です。
ただ、絵自体は、おもちゃ工場の描き方なんて、見るだけで楽しさが伝わる手の込んだもの。
絵を見て充分に楽しめると思います。
絵本の世界では、サンタは、古きよき物として描いて欲しいもの。
亜流として描くなら、もっと思い切った冒険が絵本には必要ではないでしょうか?
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