関連するスペシャルコンテンツ
編集部長、編集長にインタビューしました!
|
外は雨。大好きな母さんが出かける準備をしている。世界中の何よりも私を愛してくれる母さんが行ってしまう。 そして、冬。遠く離れた地へ働きに行った母。帰りを待つ少女の思いを、詩情あふれる文章と美しいイラストで描く。
2005年度のコールデコット賞オナー賞受賞作品。
最近、こうした人種差別が背景にある絵本が多く出版されていますが、読む選択肢が広がるということは、非常に望ましいと思っています。
書かれていませんが、おそらく、時代背景は第二次世界大戦中。
アフリカ系アメリカ人の家族の男性達は、出征しているというシチュエーション。
住んでいるのは、大都会シカゴから離れた田舎町というところでしょうか。
物語は、主人公である女の子のエイダ・ルースに向かって、かあさんがシカゴに出稼ぎに行くという話をしているシーンから始まります。
男性が出征したため、機関車を洗う仕事が、黒人の女性でも募集があるというのです。
かあさんが出かけてからは、エイダ・ルースと祖母の二人だけの生活になるのですが、克明にエイダ・ルースの心情が描かれています。
手紙を書くといっていたのに、かあさんからの手紙は来ず、エイダ・ルースは手紙を出すばかりで、安否も含めて不安が募ります。
エイダ・ルースは、いつも外を見つめていますが、E.B.ルイスの描く絵は、光をあてることによって、その明暗を上手く表現しています。
揺れる心情を、絵が象徴していると言ってもいいのではないでしょうか?
最後に、かあさんからの手紙が届きます。
読み手も安堵するシーンですが、手紙の持つ意味の大きさを再認識しました。
何度も何度も手紙を読み返すという一文に、心を揺り動かされる人は多いはずです。
全体を通じ、抒情詩のような作品です。
対象は間違いなく大人向き。
いろいろな局面で、親子の関係を考える時に読み返して欲しい作品としてオススメします。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
|