絵本紹介
2024.11.22
11月は、一年の中でもちょっと落ち着いた月のように感じます。運動会や遠足、ハロウィンといった行事もひと段落し、ゆっくりクリスマスや年末に向けた準備を始める。冬へと進むにつれ秋の色がまっていく木々や草花。季節の移ろいのグラデーションにのって、私たちの心や体もゆっくりと冬支度に向かっていく感覚があります。
今月の新刊は、読みながらじんわりと本の世界に溶け込んでいくような、心地よい作品が顔を揃えました。
『ミーコ』は、長谷川義史さんが子ども時代に出会った小さな猫との短くも心に刻まれた体験を描いた自伝的絵本。「はーっ」と吐く白い息、踏みしめると足元から広がる音。おーなり由子さん×はたこうしろうさんによる『ゆきの こえ』は、雪が降った後の銀世界が今から楽しみになる一冊です。
きょうだいや父、母との関係。家族という小世界に生きる10歳の心の機微が丁寧に、時にユーモラスに描かれた『ぼくたちは宇宙のなかで』『ぼくのはじまったばかりの人生の たぶんわすれない日々』は、大人の私たちにもさまざまな感情を呼び起こしてくれます。
読書の秋も深まっていくような心に沁み入る作品たち、気になる一冊を手に取ってみてださい。
出版社からの内容紹介
めずらしいお宝がだいすきな冒険家・ピックのもとに、ある日巨大な手紙がとどきました。
【せかいてきに ゆうめいな ぼうけんかの あなたに、おねがいが あります。いのちよりも たいせつな 8つの たまごが とうぞくだんに ぬすまれてしまいました。どうか たまごを とりかえしてください!】
それは、ドラゴン島にすむドラゴンからの手紙でした。
ピックは盗賊団をさがしだし飛行機でおいかけますが、いねむりドラゴンにぶつかって、8つのたまごも、持ち物も、ぜんぶ落ちてしまいました。
8つのたまごが落ちた先は、ドラゴンが住んでいる島だったのです。
さあ、ふしぎなドラゴンの島をぼうけんしながら、ピックと一緒に8つのたまごをさがそう!
この書籍を作った人
熊本県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科、同大学大学院で油画を学ぶ。1985年に渡仏、パリボザールに通う。1992年、初めての絵本『Les deux Soeurs』を出版。1994年に帰国後、絵本作家、イラストレーター、人形作家として活躍。『さくら子のたんじょう日』(作/宮川ひろ 童心社)で第10回、『ともだち できたよ』(文/内田麟太郎 文研出版)で第18回日本絵本賞、『オルゴールのくるくるちゃん』(講談社)で第47回講談社出版文化賞絵本賞を受賞。絵本に『こどもべやのおともだち アンナとビイプ』『ミシンのうた』(講談社)、『もりのちいさなしたてやさん』(風濤社)など。装画に『すきまのおともだちたち』(作/江國香織、集英社)、『魔法のたいこと金の針』(作/茂市久美子 あかね書房)などがある。
この書籍を作った人
1961年大阪府藤井寺市生まれ。『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版)で絵本デビュー。『いいからいいから』(絵本館)『へいわってすてきだね』(ブロンズ新社)『おならまんざい』(小学館)など、ユーモラスでおおらかな絵本が大人から子どもまで大人気。また、社会派なテーマにも意欲的に取り組んでいる。『おたまさんのおかいさん』で第34回講談社出版文化賞絵本賞、 『ぼくがラーメンたべてるとき』で第13回日本絵本賞と第57回小学館児童出版文化賞、『あめだま』で第24回日本絵本賞翻訳絵本賞、第2回やなせたかし文化賞など多数受賞。
この書籍を作った人
1933年アメリカ ロサンゼルス生まれ。高校卒業後ブルックリンの「プラット・インスティテュート」に入学。本のイラストレーションを学ぶ。ポーランド生まれのアニタ・ローベルと出会い結婚。『わたしの庭のバラの花』など、ローベルが文、アニタが作画を担当した絵本も出版されている。『ふたりはともだち』でコルデコット賞次賞と全米図書賞、『ふたりはいっしょ』でニューベリー賞、『どうぶつものがたり』でコルデコット賞を受賞。20世紀アメリカを代表する絵本作家となる。その他の作品に『ふくろうくん』『おはなしばんざい』(以上文化出版局刊)などがある。1987年ニューヨークの病院で他界。
この書籍を作った人
東京都生まれ。詩集『わがキディ・ランド』で高見順賞、『鶸』で芥川賞、童話『ぽたぽた』で野間児童文芸賞、『イヌのヒロシ』で路傍の石文学賞、評伝『北原白秋』で毎日芸術賞など受賞。他の児童向けの本に『おおやさんはねこ』『星のカンタータ』『ほろびた国の旅』『イトウくん』など、翻訳にアーノルド・ローベル『ふたりはいっしょ』などがある。
出版社からの内容紹介
■令和の恵比寿天 「すしざんまい」社長 木村 清さんもオススメ!
のりちゃん、素晴らしい海の世界のお寿司屋さんを教えてくれて、ありがとう! 次は私が、『マグロ大王』の国をご案内しましょう!
(令和の恵比寿天 「すしざんまい」社長 木村 清)
■あらすじ
今日はのりちゃんの誕生日。家族でおすしやさんにやってきました。このお店には、ときどき特別なおすしがまわってくるというウワサがあります。
「あっ!」。食事中にお箸を落としてしまったのりちゃん。お箸を拾おうとテーブルの下にもぐり込むと、もうひとつのレーンを見つけます。
「よおし、いってみよう!」好奇心旺盛なのりちゃんは、大きなお皿にのって進みます。
たどり着いたのは海の神様たちがいる世界。実は、何者かがのりちゃんのあとをつけていて…!?
この書籍を作った人
1977年 長崎県生まれ。東京藝術大学美術学部油画専攻卒業。同大学院修了。卒業後、雑貨デザイナーを経てその後フリーランスへ。第36回日産童話と絵本のグランプリで大賞受賞。第2回ビルボ絵本大賞で優秀賞受賞。第11回日本童画大賞 絵本部門で大賞受賞。作品に『おかしのまちのおかしなはなし』(フレーベル館)『くつやさんとおばけ』『カッパーノ』(いずれもBL出版)がある。
この書籍を作った人
1965年生まれ。絵本作家、漫画家。おもな著書に『ひらがな暦』『幸福な質問』『モーラとわたし』(以上新潮社)『ことばのかたち』(講談社)『てのひら童話1〜3』(角川書店)『天使のみつけかた』『ラブレター』(大和書房)『だんだんおかあさんになっていく』(PHP)『あかちゃんがわらうから』(ブロンズ新社)など。翻訳の仕事に『たいせつな あなたへ あなたが うまれるまでのこと』『おにいちゃんといもうと』『ごはんのじかん』などがある。
この書籍を作った人
兵庫県に生まれる。絵本作家、イラストレーター。絵本に「ショコラちゃん」シリーズ(講談社)、『ゆらゆらばしのうえで』『ことりのゆうびんやさん』(以上福音館書店)、『なつのいちにち』(偕成社)、『むしとりにいこうよ』『みちくさしようよ』(ほるぷ出版)『雪のかえりみち』(岩崎書店)、『はるにあえたよ』「クーとマーのおぼえるえほん」シリーズ(ポプラ社)、『ぼくはうちゅうじん』(アリス館)、『はじめてずかん どうぶつ(1)(2)』(コクヨS&T)、童話の絵に『きかせたがりやの魔女』『あしたあさってしあさって』などの作品がある。
この書籍を作った人
詩人。『どろぼうのどろぼん』で日本児童文学者協会新人賞、小学館児童出版文化賞を受賞。主な作品に『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』。絵本に『とうだい』(小池アミイゴ 絵/以上、福音館書店)、『えのないえほん』(植田真 絵/講談社)など。
この書籍を作った人
1971年大阪府生まれ。現代美術家。第4回セゾンアートプログラム 美術家助成受賞。財団法人野村国際文化財団 芸術文化助成受賞。ポロック・クラズナー財団 助成受賞。作品に、『おうさまのおひっこし』『ルソンバンの大奇術』(福音館書店)、『どろぼうのどろぼん』(作:斉藤 倫/福音館書店)、『めいわくなボール』(偕成社)、『ようこそロイドホテルへ』(作野坂 悦子/玉川大学出版部)などがある。
この書籍を作った人
東京都生まれ。作家・翻訳家。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。その後、児童文学の創作と翻訳をはじめる。創作絵本に『3じのおちゃにきてください』『まいごのまめのつる』(ともに、福音館書店)、訳書に『3びきのかわいいオオカミ』『きみなんかだいきらいさ』(ともに、冨山房)、『はがぬけたらどうするの?せかいのこどもたちのはなし』『クレンショーがあらわれて』(ともに、フレーベル館)、『ふくろのなかにはなにがある?』(ほるぷ出版)などがある。
出版社からの内容紹介
親友とすごす楽しい時間もあり、とんでもなく退屈な時間もあり、純粋な喜びもある、10歳の男子ベニーのありのままの日常がつづられます。作者イーサン・ロングの体験にもとづいた物語です。
そこそこ幸せに生きていた主人公ベニーに、キツいできごとがふりかかってきます。両親の離婚、父さんの病気、アンガーマネージメントのためのカウンセリング……。軽くはないテーマが扱われますが、ほぼ全ページに添えられた作者自身が描くユーモラスなイラストの助けにより、ベニーに共感しながら読み進めることができます。物語を通して、「ひとりじゃないよ。助けを求めることがだいじだよ」という作者からのあたたかいメッセージがダイレクトに伝わります。
文/竹原雅子
編集/木村春子