うごく! しゃべる! ぬりえーしょん 海のいきもの (小学館集英社プロダクション)
お子さまの塗ったぬりえが、アニメーションになる!フランス生まれの画期的なぬりえシリーズ!
- びっくり
- かわいい
絵本紹介
2021.12.16
雪の中、静かにあらわれるバイソン。見上げるほど大きな体はいつでもあたたかく、その目は真っ黒で優しい。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『わたしのバイソン』。ちいさな少女とバイソンの出会いから始まるこの物語、どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
はじめて見た時から、存在感の大きなバイソン。最初はおっかなびっくりだったけれど、すぐに仲良くなっていくふたり。少女にはバイソンの声が聞こえるのだ。
冬になると会いにきてくれるバイソン。お話をたくさんすることもあれば、ただ寄り添う時もある。そうして歳をとっていったふたりだけれど、一緒にいれば、いつでも出会った時と同じ気持ち。雪の中でも寒いなんて感じたことがない。
だけど、とうとうバイソンはいなくなってしまった。探しまわって遠くまで歩いたけれど、どこにもいないのだ。その時、心の中に聞こえてきたのは、まぎれもないバイソンの声……。
ガヤ・ヴィズニウスキが手がける初の絵本には、喪失とそのあとにおとずれる心の安らぎが描かれている。抑えられた表現の中で、まっすぐに伝わってくるのはバイソンの体温と、ふたりで過ごす時間の優しさと繊細さ。そしてそれは、バイソンが目の前にいる時も、いなくなった後でも続く。
少女にとって心のよりどころとなっていったように、私たち読者もまた同じようにバイソンに心を奪われていく。どこか不思議な物語だけれど、それほど魅力的に描かれているのだ。この絵本を手に取れば、いつでもバイソンに会えるのは幸せなことかもしれない。
たとえ記憶の一部だったとしても
心の底から信頼を寄せることのできる相手。なにからなにまでが好きで、体温を感じるだけで安心ができる。そんな存在があるのはうらやましいけれど、それは何も同じ人間とは限らないし、生き物でなくてもいいのかもしれない。幼い頃の記憶の一部だって、自分の心のよりどころになってくれるはず。そうやって、自分の中にある「バイソン」を探してみたくなってくるのです。
この書籍を作った人
1980年ベルギー生まれ。ブリュッセルのサン・リュック学院にて絵を学び、デッサンの教師となる。並行して子どもむけのワークショップなども多数主催。その後絵本作家としての活動を始める。2016年よりフランス南西部のジュール県在住。絵本に “Ours a New York” “Papa, ecoute-moi!” “Chnourka” など。デビュー作の『わたしのバイソン』で4賞受賞。
この書籍を作った人
1975年東京都生まれ。早稲田大学文学研究科フランス語フランス文学コース修士課程修了。翻訳の仕事に『わたしのバイソン』。書籍のデザインの仕事に詩集『切抜帳』や絵本『あら、そんなの!』など多数。映画音楽の制作などギタリストとしても活動。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。