海辺で男の子がバケツとシャベルを手に遊んでいます。 黄色いコートに長靴をはいています。 どこから来たのか、黒いぶち模様の白い子犬がそばに寄ってきました。 子犬は男の子をじっと見上げます。
「やあ、きみ。きみは だあれ? ついてきたの?」 「きみはぼくと ともだちに なりたいんだよね、 でも ぼくたちは ともだちには なれないんだ」
理由は……男の子にはもう「とびっきりのともだち」がいるから。 亡くしてしまったけれど、ずっと大切な「とびっきりのともだち」だから。 男の子は子犬と目をあわせません。 ともだちがいた心の中の居場所を守ろうとして、男の子は心を閉ざしています。
でも、だんだん男の子の心に変化がおとずれます。 浜辺を子犬と一緒に歩いて。 嵐を感じて。 カミナリから逃げて。 雨の中で子犬と見つめあい、だっこする場面にはじーんとしてしまいます。
切なくもかわいらしい、子犬の表情がいっぱい。 男の子の表情も目を引きます。 気持ちが通じ合い、ぬくもりをわけあう……。 そんなささやかな幸せに、じわじわと心が満たされていきます。
子どもも大人もふと感じるさみしさやよろこび、 そして「とびっきり」だからこそ湧いてくる思いを、 やさしく癒してくれる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
きみはだあれ? ひとりなの? ぼくといっしょにいたいんだね でもだめなんだ ぼくにはとびっきりのともだちがいるから……
忘れられない思い出をかかえた少年が、小さな子犬とふれあううちに次第に心を開いていきます。 自身も多くの犬たちとの思い出を持つ落合恵子氏がていねいに思いをつづっています。
BL出版の翻訳絵本は じっくりと心に問いかけるようなものが多いと思います。
落合恵子さんの訳ということにも興味を持って選びました。
きみ と話しかけられる子犬。
子犬に話しかける ぼくの心の中にある気持ち。
「とびっきりのともだち」というタイトルが持つ意味合い。
絵本でありながら そのことを考えながら
じっくりと読みました。
絵も言葉もじゅうぶん味わえるだけの作品だと
大人の私は感じました。
小さいお子さんや読む年齢層によって、
この絵本から感じるものはちがうかもしれませんが
難しさもあるかもしれませんが印象に残った絵本です。 (koyokaさん 50代・じいじ・ばあば )
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