母鬼とおにぼうは、山のなかでしずかに暮らしていました。ある日、母鬼は、鉄砲の玉が足に当たり、しばらくして死んでしまいました。悲しみにくれたおにぼうは、大岩に母鬼の姿を掘って墓にしました。
しばらくして、おにぼうは、村の子どもたちと一緒に遊ぶようになりました。
ところが、それを知った庄屋は、「おにぼう退治」に出かけます。大変な目にあったおにぼうは、それからは山のなかでひっそりとひとりで暮らすようになりました。
ある日、大雨で村が流されそうになります。そこで、庄屋たちは、力持ちのおにぼうに助けを求めに行きました。おにぼうは、自分が何とかしなければと、大岩を落としてあふれる水をせき止めようとします。おにぼうがありったけの力を込めた瞬間……。
おにぼうと村の子どもたちを通して、心のやさしさ、素直な心の大切さが伝わり、心にジーンとひびきます。
村人に嫌われていたおにぼうは、大雨で村が流されそうになり、庄屋たちに助けを求められます。大岩を落として、あふれる水をとめようと、おにぼうがありったけの力をこめます。おにぼうの身の危険が及ぶことを村人達は知っていた。でも、亡くなった母鬼がおにぼうに最後に残したあの一言を、ずっと胸に留め守ってきたおにぼうの優しさを利用した人間達。大切な人間の大岩を突き落とし、振り返ったおにぼうのあの笑顔がジーンと響きました。読み終わった後、4歳の娘は、目に涙を溜めていました。そんな本に出会ったのは初めてです。 (ぼんぬさん 40代・ママ 女の子4歳)
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