下町にあるケーキの名店「ナトリ」に毎日来ては、いちごのショートケーキに熱い視線を注ぐ少年。お店のおばさんは、その少年のことを不思議に思っていた…。塚本やすし自らの経験をもとにした、親と子の情愛の物語。
厄年を迎えるお父さんへの思いやりと、精一杯のプレゼントに、少年がどれだけ思いを込めたか、感動と余韻で終わるお話です。
オイルショックがあった、社会は決して穏やかではない昭和48年には、イチゴののったショートケーキは憧れであり、少年にとってはとても、気高い存在であったに違いありません。
コツコツと小銭を貯金箱にためて、やっとの思いで買いに行ったときに、大きなショートケーキは値上がりしていました。
今日の値上げラッシュを思いつつ、少年のしぼんでいくような敗北感を考えるととても辛くなります。
その日でなければいけないから、少年は小さなショートケーキを買うことにしました。
ショートケーキにローソクが42本立ったところを想像すると胸が締めつけられます。
お父さんにとっては、最大級のプレゼントだったに違いありません。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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