アンデルセンの『赤いくつ』はなぜか、日本人が描く絵本ばかりのようですが、気のせいでしょうか。
いわさきちひろ、降矢なな、網中いづる。
訳者も神沢利子、岩崎京子、角田光代と絵本や小説で名だたる方が連なります。
何か話そのものが日本の絵本作家、小説家を触発するものがあるのでしょうか。
とても悲しくて暗い話です。
教会に履いていくには場違いな赤いくつに魅力を感じた薄幸の娘カーレン。
母を失い、引き取ってくれた親切なおばあさんは、赤い靴でダンスに出かけている間に死んでしまいます。
罪の意識に苦しむのですが、赤い靴はカーレンの意志とは関係なく、靴は踊り続けます。
しまいには両足を切断してもらうことで踊りから解放されたカーレン。
怖さという点では、岩崎京子さんの文が一番かもしれません。
その怖さを、降矢ななさんはマリオネットの舞台劇で表現することによって、子どもたちとの距離感を和らげようとしているようです。
楽しい話ではないので、操り人形のようにして描かれたカーレンが痛々しくも感じられました。
天使に救われて天国に召されるラストシーンはとても感動です。
やっとカーレンは赤い靴の悪魔から解放されるのです。
松葉づえを使いながら、天国でおばあさんと二人歩いていく後姿。
このラストシーンに救われたように思います。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子15歳)
|