タイトルにドキっとしつつ…手に取ってみるのは、大人気「おれたち、ともだち!」シリーズの最新刊13作目。このシリーズ、なんと誕生20周年。振り返れば、キツネとオオカミを中心に、友達について色々と考えさせられてきました。今度のお話のはじまりは、雲が出てきた月の夜。キツネがオオカミにポツリ、ポツリと語り出すのです。
「ぼく、キツネやまに いたんだよ」
どうやらキツネやまというのは、こギツネだけでも80ぴきはいる賑やかな所。でも、大人になるために、誰でもこの山をおりていくタイミングがあるのです。キツネもはずんだ足取りで、山をおりました。それから、どうしたかというと…。
オオカミには、それからのことがよくわかります。聞かなくたってわかるのです。オオカミも、オオカミやまをおりてきたのですから。ひとりだったのですから。
さびしくて、さびしくて、なにかを始めずにはいられなかったキツネが取り掛かったのは……
「あっ、これは!!」
ともだちやシリーズの読者なら、すぐにピンときますよね。そう、これはキツネとオオカミの出会いの前の話、エピソード0なのです。
♪さよならは であいの はじまり かわが うみに であったように キツネが オオカミに であったように オオ カミさま! オオ カミさま!♪
真夜中の森に響き渡る歌声に、心が熱くなってきます。 本当にそうだよね、キツネくん、オオカミくん。 ミミズクのおじいさんみたいに、うんうんと頷いてしまうのです。 そして、降矢ななさんの表現の幅の広さに唸ってしまうのです。 2人の厚い友情が、いつまでも見られますように…。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
『ともだちや』から始まった「おれたち、ともだち!」シリーズの最新刊。キツネのおかしな思いつきから、友だちになったオオカミとキツネ。おたがいの誤解でけんかをしたり、やきもちをやいたり、ちょっと苦手な友だちや、新しい友だち……さまざまな友だちに関わるできごとをつづる絵本シリーズ。最新刊は、キツネのおかしな思いつき「ともだちや」を始める前の、キツネとオオカミのお話。さよならは寂しいばかりじゃない、さよならは出会いの始まり。「かわが うみに であったように キツネが オオカミに であったように オオ カミさま! オオ カミさま!」ふたりの歌声が満月の夜の森に響き、心が熱くなります。降矢ななさんのイラストもふたりの友情に厚みを加えて魅力的。なつかしいシーンも登場します。
ともだちシリーズはどれを読んでも考えさせられます。
今回の絵本では、我が子が自立していくときの気持ちを想像してしまいました。
自分が親元から離れるとき、どんな感じだったかなとか、やっぱり少し寂しかったかなと思い出してみました。
そして、4才になった息子もいつか私から離れるとき、同じように感じたりするのかなと思うと、少し寂しくなりました。
オオカミとキツネのように、息子にも、側にいてくれる大切な人がいますようにと願ってしまいました。 (ちびっこおばちゃまさん 40代・その他の方 男の子4歳)
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