「へいわ」と「せんそう」。
確かに違う、このふたつ。 平和の方がいいに決まってる。
…だけど。 「へいわのボク」と「せんそうのボク」ではなにが変わるんだろう。
詩人・谷川俊太郎と、一度見たら忘れられないモノクロームのドローイングが話題のイラストレーターNoritakeが取り組んだ、平和と戦争について考えるこの絵本。左右のページにはさまざまな人や物や場所の「へいわ」の状況と「せんそう」の状況が並び、ひとめでその違いが見えてくる。
例えば… 「へいわのボク」はいつも通り。いつもと同じに立っている。 「せんそうのボク」は座り込んでしまっている。
「へいわのワタシ」は勉強をしている。これもいつも通り。 「せんそうのワタシ」は何もしてない。
「へいわのチチ」はボクと遊んでくれて、「せんそうのチチ」は完全武装をして一人で闘っている。「へいわのハハ」は絵本を読んでくれるけど、「せんそうのハハ」は…。食卓を囲む「へいわのかぞく」、食卓には誰もいない「せんそうのかぞく」。手に持っているモノだって、木や海や街だって、明らかに全然違う。
それは、行き来が可能な世界ではない。 「せんそう」が終われば戻る世界でもない。 何かがなくなった、だけでは終わらない。
どこまでも深い「黒」と、少し光を放つような「白」の2色で構成されている場面に、シンプルだけど、これ以上ないくらいわかりやすい「ことば」。この絵本のどのページを見ても、まるでマークや記号のように、直接、目と頭に働きかけてくるのです。そして頭に残るのです。
でも、谷川さんは最後に大切な希望を見せてくれます。それは…。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
くらべてみると、みえてくる。「へいわのボク」と「せんそうのボク」では、なにが変わるのだろう。同じ人や物や場所を見開きごとにくらべると、平和と戦争のちがいがみえてくる。これまでになかった平和絵本!
<本作に寄せて>
戦争が終わって平和になるんじゃない。 平和な毎日に戦争が侵入してくるんだ。 谷川 俊太郎
ぼくや私、父や母の、戦争の時、平和な時の違い。
戦争の時の日常も、平和な時の日常も違う。
それが短い言葉と分かりやすいイラストの組み合わせで表現されています。
ページが進むにつれ、戦争と平和の違いを見ているだけで胸が痛んできます。
そして、敵も味方も何も変わりないことも淡々と表現されており、何故戦争が起きてしまうのか・・・ということを考えさせられます。 (hime59153さん 40代・ママ 男の子10歳)
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