ある国の王さまとお妃さまに、10人の子どもがいました。
つぎの王さまを決めるため、どのように国を治めたいか考えるようにといいつけられた子どもたち。 人々の暮らしを見るために、さっそく街へ出ます。
はじめて見る街のようすに、王子さまもお姫さまもおおはしゃぎ!
王さまは、帰ってきた子どもたちに、どんな王や女王になりたいかたずねるのですが―― あれ!? 王さまになりたい子が、ひとりもいない!?
花屋やサッカー選手、アーティストにメカニック! ひとびとの暮らしを見たことで、自分がどうやって人の役に立ちたいかを知った子どもたちは、それぞれがあたらしい夢をいだいて、お城に帰ってきたのです。 でも、それじゃあつぎの王さまはだれが――?
著者は、『くっついた』(こぐま社)や『あ・あ』(童心社)などで知られる三浦太郎さん。 切り絵のようなシルエットに、コントラストも鮮明な独特のグラフィックで、それぞれのページが一枚のポスターのように、いつまでもながめていたくなる魅力があります。
にぎやかなお寿司屋さんのカウンター。 敵味方入り乱れるサッカーグラウンド。 歌って踊る、きらびやかなアイドルのステージなどなど。
子どもたちが、それぞれに自分の夢をかなえて働いている姿を思い描くページは、どれもにぎやかでカラフル!
一見してシンプルなキャラクターながら、彼らの働く風景は、ちいさなアイテムのひとつひとつにいたるまで描きこまれていて、つくりの細かいオモチャの街をながめているようなたのしさがあります。 三浦太郎さんのほかの絵本が本棚にあったり、別のページの風景がテレビ画面に映っていたり、小ネタもあちこちに――
『ちいさなおうさま』『おおきなおひめさま』(偕成社)の続編にして、完結編の本作。 読んだ後に『ちいさなおうさま』『おおきなおひめさま』を読み返してみるのもオススメです。
(堀井拓馬 小説家)
王家に生まれた10人の子どもたち。成長してどんな王・女王になりたいか問われ、それぞれ、すし屋、サッカー選手、農家、保育士、アーティストなど、自分の好きな仕事で人々を幸せにしたいと考えます。さて、王さまのあとをついだのは……? 『ちいさなおうさま』3部作の完結編です。 さまざまな職場のようすがこまかく描かれ、めくるたびに発見がある、楽しい絵本です。
絵本って、ロングセラーがあればいいという
人もいますよね。でも、私は、その時代時代の
子どもたちの置かれている環境下に合った絵本というものも
やっぱり必要だと思います。
この絵本はまさにそんな絵本。
昔では考えられなかった価値観の多様化についての絵本。
ジェンダーフリーについてまでは描かれていませんが
今の子友達の置かれている状況の多様性が
絵本で描かれています。
太郎さんの絵もまたぴったり合っている。
冷たくなく、あったかすぎないというか。
昔はこのテーマをここまでストレートに描けなかったように
思います。もっとオブラートに包むというのが
日本人好みだったというか。
分かりやすいけど、下品じゃない、いい絵本だと思います。 (はっしゅぱぴーさん 40代・ママ )
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