ある春の日、遊牧民の少女アローハンは、草原で親に見捨てられた子羊を救います。子羊は「愛しいもの」という意味の「ホンゴル」と名づけられ、その日から、アローハンとホンゴルはいつも一緒でした。ホンゴルは、いつでも、どこへでも、アローハンについてくるようになり、それは、大人の羊になっても変わりませんでした。アローハンがお嫁に行ってからもホンゴルは心の支えでしたが、ある晩、草原を大吹雪が襲って…。
モンゴルの大草原を舞台にした少女と羊の物語です。
「スーホの白い馬」も横長の絵本でしたが、やはりモンゴルの大草原を表現するには、こうした横長のサイズでないと無理なのでしょうね。
椎名 誠さんの書評が表紙にあります。
「モンゴルの草原と、そこに生きる人々を、動物たちを、雲を、風を、これほど見事に描いた作品を見たのは初めてだ!」とありますが、正にこの言葉に集約されていると思います。
椎名 誠さんは、TVで良くモンゴルで馬に騎乗しているのを見たことがあり、その思いは強いのでしょう。
作者の興安(ヒンガン)さんは、モンゴル出身で、東京芸大の日本画研究室で学んだとあり、水墨画とモンゴルの雄大さとのマッチングは特筆できるものだと思います。
自然の厳しさといのちの大切さも教えてくれる絵本で、読後感の爽やかさは何とも言えず心地よいものになるでしょう。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
|