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祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり……日本語の暗誦の定番「平家物語」の冒頭が絵本になりました。 琵琶法師のたくみな語りに魅せられて、観客たちが見たものは……。武士の物語である「平家物語」の力強さと、 根底に流れる無常観とを描いた大迫力の絵本。
祇園精舎は、男性的な文体の響きなので、山本孝さんの描く力強く色彩もはっきりとした表現が、ぴったり合っていてよかったです。
琵琶法師が、祗園精舎を語り歩く様子を描いているのだが、物語の中に登場する昔の愚かな武将達が、生き生きと背景に現れて、そのうち恐ろしい形相になったり、また、惨めな姿になってしまったり、上手く表現されている。
子供にとっては、意味がまだまだわからないところではあるが、この絵本によって、ちょっと恐い怪談話のような絵を楽しみつつ、この暗証するに値する名文が、少しでも耳に残ればよいのではないでしょうか。 (はなしんさん 40代・ママ 女の子10歳、男の子8歳)
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