王さまに納める梨が足りないからと、父にかごに入れられ、一人宮殿にまでやってきた女の子ペリーナ。ペリーナはたいそう賢い子どもでしたから、召使として仕事をてきぱきこなし、心の優しい子でしたから誰からも好かれ、同じ年頃の王子さまとも、すぐに仲良しになりました。
ところが、「ペリーナが魔女の宝物をとってこられると自慢している」という、ありもしない噂が流れ、王さまは彼女に「宝物を持ってかえるまで中には入れない」と命令されてしまうのです。ペリーナは、一晩梨の木の上でぐっすりと眠り、宝物を探しに歩きはじめます。
古くからイタリアに伝わるというこのお話。女の子が宝物を探しに行き、見事に持って帰るまでを描いていると言えばシンプルなのですが、髪の毛をむしる3人の女、襲いかかろうとする3頭の番犬、血のように赤い水が流れる川……など、登場する場面がなかなかに「いかつい」のです。それでも、どこかふわっとした存在に見えるペリーナは、言いつけを守りながら難所を突破していき、知らぬうちに出会ったものたちの苦しみをも解放していってしまう。そんなストーリーに魅せられたという酒井駒子さん。それぞれの場面を嬉々として描いているのが伝わってくるようです。
もちろん、梨の木の上で眠る姿、宝箱を持って疾走する姿、最後の場面……その清らかなペリーナの姿が、どれも素晴らしく愛らしいことは言うまでもありません。手もとに置いておきたくなる、贅沢で美しい1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
梨と一緒にかごに入れられ王様の宮殿にやってきたペリーナは、召使として働くことに。心優しいペリーナは誰からも好かれ、王子とも仲良くなりました。ところが、ありもしないうわさを流され、魔女の宝をとってこいと、宮殿を追い出され…。理不尽な目にあいながらも、率直で綺麗な心であり続け、出会う不思議なものたちの苦しみを解放しながら、魔女の宝を探しにいくペリーナ。その勇敢で清らかな姿に胸をうたれます。
イタリアの昔話です。
イタリアの明るい土壌のストーリーに、酒井駒子さんの暗いトーンの絵はどうかな?と思いながら読みましたが、とてもとてもマッチしています。
懐かしいような不思議な温かみに包まれる印象的な絵本でした。
購入して手元に置いておきたいと思います。 (ピンピンさん 60代・じいじ・ばあば )
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