20年に一度、「大まんぷく村」で開催される「やまがみさま だいまんぷくまつり」。山の向こうからやってくる「やまがみさま」のために、おとなから子どもまで、村人総出でお弁当をつくるお祭りです。
とはいえ、みんながそれぞれにお弁当を作るわけではありません。「やまがみさま」のサイズに合わせた、ひとつのおおきな弁当を作るのです!
その弁当の巨大さといったら!
卵を500個も使った、巨大たまご焼き。キリンの首にピッタリはまるほど長い、メガちくわ。運ぶのに14人も必要なのは、ステーキにするマンモス肉。
しかも、おかずが大きいだけじゃない!
子どもたちがひとつぶひとつぶ、専用のリュックで背負って運ぶのは、炊き立てのごはん!? それに、トラックの荷台いっぱいの長さがある、ジャンボアスパラガス! レンコンを運ぶのだって、穴に棒を通して、かついでいかないといけません……いったい、どれだけ栄養たっぷりの土で育ったのでしょう?
とうぜん、ふつうの調理器具で料理できるはずもなく……くりだされるのは、調理用巨大ロボ!
著者は、「しょうてんがいくん」「よなかかいじゅうイビキラス」などで知られる、大串ゆうじさん。著者独特の昭和レトロなタッチで細部まで描きこまれたお祭りの景色は、まるでブリキのオモチャが動き回っているようで、とってもキュートです。
みどころはなんといっても、村人たちの努力の末に完成した、やまがみさまの豪華なお弁当! エビフライに焼き鮭、ステーキ、梅干しの乗った真っ白なごはん、そしてデザートの栗まんじゅうまで! 見開きのページいっぱいの巨大弁当は、真上からのアングルでのぞきこむように描かれていることもあって、まるでほんとうに目の前にあらわれたかのような臨場感があります。
そのまわりを取り囲んで、村人たちが弁当の完成をよろこんでいると──?
どす?ん……、どす?ん……、と、山の方からおおきな音が!
「あっ!!」
村人たちが、おどろきの表情で声をあげ、山を指さします。
物語序盤では、大きく不気味な影として描かれているやまがみさまですが、その真実のお姿とは!?
そして、「やまがみさま だいまんぷくまつり」が村人たちにとってなくてはならない、そのおどろくべき理由とは!?
表紙裏には、絵本のそこかしこに登場する個性的なキャラクターが紹介されています。
おべんとうのにおいがするとあらわれる「おべんとうおばけ」。巨大米粒を運ぶ子どもたちを見守るバッタな神さま、「こめつきバッタさま」。足の生えた切り株……? ナゾすぎる妖精「ひまぼう」などなど──
奇妙キテレツなキャラクターたちをにぎわう祭りの場面から見つけ出す、絵探し絵本としてもたのしめます。
ページの隅から隅までゆかいなアイデアがいっぱいに詰まった、いつまでもながめていたくなるおすすめの一冊です!
(堀井拓馬 小説家)
ぼくのむらでは 20ねんにいちど「やまがみさま だいまんぷくまつり」という とても だいじな おまつりが あります。やまのむこうから やってくる やまがみさまのために、きょだいな おべんとうを つくる おまつりです。
20年にいちどやってくる「やまがみさま」のために、村中で力をあわせて巨大なおべんとうを作ります。やまがみさまっていったい誰? このお祭りはいったい何のため? 細かく描き込まれた絵も、お話の謎も楽しい、何時間でも楽しめる絵本。
巨大弁当?
そのインパクトについ、手に取ってしまいました。
5歳の「ぼく」の視点で、20年に一度の「やまがみさまのまんぷくまつり」を描いてあります。
祭りと言っても、村をあげてするミッション、山神様のために作る、巨大弁当作り。
その大掛かりな様子が大真面目に描かれているから愉快です。
そして、いよいよ、山神様登場!
無事美味しく平らげて、でも、ここからが本番!?
そう、ミッションの大事な理由が明らかになるのです!
なるほど、村にとっては切実です。
幼稚園児くらいから、大受けしそうです。 (レイラさん 50代・ママ 男の子30歳、男の子28歳)
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