もしもわたしがひつじなら、あなたはこひつじ。 わたしがうまなら、あなたはこうま。 わたしがくまなら、あなたはこぐま……
そうやってあなたが大きくなるまで、いつも一緒にいて見守ってきたけれど。いつかあなたは、とびだってゆく。あなたはあなたの道を歩み、なりたいあなたになっていく。わたしだって、変わっているかもしれない。
たとえ姿は変わっていたとしても。同じひつじに見えなかったとしても。これからもずっとわたしたちは「わたしたち」のまま。
親から子への深い愛情を描きながら、それでも決して親子のあるべき形を強制することなく、それぞれが思うように生きることの大切さを描くこの絵本。「わたしたち」という言葉には、どれだけの願いや想いが込められているのでしょう。
作者はチリの国民的絵本作家。親子の関係の変化を象徴的に描きながらも、そのあたたかい色彩や愛らしい動物たちの姿から、優しいまなざしが伝わってきます。いつか自分のもとから旅立ち、その関係が成熟していこうとしている子どもたちへ。わが子の生き方に戸惑いを感じることもあろう親へ。今を生きるすべての人たちに贈る絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
チリの国民的絵本作家がおくる、親子の長い歩み、強いつながりを描いた物語。 時がすぎ、変化しても、かわらない。いつかとびたってゆく、あなたへおくるメッセージ。
「わたしたち」 というやさしい言葉に込められた深いまなざし。 この本は、親子の強いきずなをえがいています。かけがえのない「わたしたち」の関係は、たとえ時が過ぎ、現実から遠く離れても、変わりゆくものを乗りこえ、いつまでも変わらぬ愛でありつづけるのです。
かわいらしい母と子の絵本だと思っていましたが、予想をはるかに上回る内容でした。シンプルな文をくりかえし読みこんでいくと、行間と絵の中に深いメッセージが見つかっていきます。読んだ後、涙があふれました。子どもがいっそう愛おしくなり、母である自分を振り返りながら、自分の母親にも会いたくなりました。 (リトルミィさん 50代・ママ 男の子16歳)
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