昔、川のそばにあねさまがいて、ホーラ(川原)のマーヤ(おねえさん)と呼ばれていました。ある日、マーヤが川で着物を洗っていると、もものたねが流れてきました。マーヤはそれを拾って家に持ち帰り、大事に育てます。すると大きな桃の木が育ち、たくさんのももが鈴なりになりました。
ところが、おいしそうに熟れたたくさんのももを、ずるいさるにだまされて盗られてしまいます。怒ったマーヤはおむすびをつくり、さる退治に出発。途中で出会ったハト、ハチ、うす、うしと一緒に、さるを追い詰めていきます。
これは沖縄本島に近い奄美の島、沖永良部島に伝わる昔話です。「さるかに合戦」と「桃太郎」を1つにしたような昔話ですが、女の子が主人公という点が特徴。
中脇初枝さんが語る「女の子の昔話えほん」シリーズは、女の子が主人公の昔話を集めたもの。主役は、自分で道を開き、強く生きていくたくましい女性たちです。自分の気持ちに正直に、ひとりで考え、勇しく行動していくマーヤの姿は、これからの新しい世界を生きる子どもたちに勇気を与えてくれるはずです。
(出合聡美 絵本ナビライター)
へこたれない女の子が主人公!
川でひろったもものたねから、大きなももの木をそだてたマーヤは、 ずるいさるにだまされて、おいしいももをとられてしまいます。 マーヤはおこって、おにぎりをつくり、さるたいじにでかけます。 とちゅうで出会った、ハト、ハチ、うす、うしといっしょに、さるをこらしめることはできるでしょうか。 沖永良部島につたわる昔話が、たのしい絵本になりました。
::::::::::::::::::::::::: どんどん あるいていくと、 はとが ぱたぱた とんできて 「マーヤ、マーヤ、どこへ いく。」 ときくので、マーヤが 「さるを たいじしにいくから、いっしょに いこう。」 とさそいますと、はとは 「あさごはんは たべたけど、 ひるごはんが ないから いけない。」 とこたえました。そこで マーヤが 「ひるごはんは、わたしが もっているから、 いっしょに いこう。」 というと、はとは 「それなら いっしょに いこう。」 といって、マーヤに ぱたぱた ついてきました。 (本文より) :::::::::::::::::::::::::
昔話の主人公は男の子ばかり? そんなことありません!
世界と日本で語りつがれてきた 女の子と、大きくなった女の子たちの昔話を 絵本にして、おくります。 いろんな女の子が主人公の絵本シリーズです。
日本のおはなし、というのに、表紙絵から漂う南国感。
それもそのはず、沖永良部島に伝わる昔話だそう。
ホーラ(川原)のマーヤ(おねえさん)というあねさまが主人公。
川で洗濯していると、桃の種が流れてきて、植えたらたわわに実るのです。
ところが、高い位置の実が取れなかったところにサルがやってきて、
横取りしてしまったので、仕返しに行くのです。
途中で出会ったハトとハチとウスとウシと一緒にサルの家へ。
おやおや、桃太郎と猿蟹合戦のミックスのような展開。
でも、主人公は女の子で、ちゃんと自分でおむすびを作り、
リーダーシップをとって進む様子が頼もしいです。
古事記の頃から語られる桃の存在感が印象的です。 (レイラさん 50代・ママ )
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