「ついに、まったく見えんようになってしもうた。まっ白じゃ。ヘレン・ケラーになってしもうたわ。」 と言うのは、うちのおかあちゃん。でも、白いつえをもらえたら、 「これで、鬼たいじができるわ。さあ、どこからでもかかってこい!」 目が不自由でも、民謡教室を開き、三味線をひき、大声で歌うおかあちゃん。娘のまりえへのお小言も、人並み以上。そんな豪快なおかあちゃんが教えてくれるのは、「目が不自由だからかわいそう」ではなく、目が不自由だからこその世界。
耳がいい、頭もいい、たくましい、立ち直りが早いなど、持ち前の性格を発揮し、毎日明るく楽しく過ごすおかあちゃん。そんなおかあちゃんを自然に受け止める、まりえやおとうちゃん。豪快なおかあちゃんの憎めないキャラクターだけでなく、家族丸ごと好きになっちゃいます!
さてそのおかあちゃん、まりえの中学受験の日におまもりの手紙を渡してくれました。そこに書かれていたのは…? ぜひ自分の目で確かめてください。
作者の小手鞠るいさん自身のおかあちゃんのエピソードを基に、岡山弁で明るく描き出した作品。立体造形作家でもあるこしだミカさんが描くおかあちゃんは、素朴で豪快なイメージそのまま! そのたくましさに、脱帽です。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
おかあちゃんは、ほとんど目がみえない。 三味線をひくのがうまい。口が悪くて、えばっていて、たくましい。 ひとりでどこへでも出かけていく。 みんなのことが、ぼ〜っとゆうれいみたいにしか見えていない、 と言っていたおかあちゃんの目が、ある日とうとう、何も見えなくなった。 その日だけ、おかあちゃんが泣いた。 でもおとうちゃんの一言 「目も悪くて、口も悪くて、意地も悪い。それはヘレン・ケラーじゃな」で、 お母ちゃんは笑顔に。 「ようし、こうなったら、日本一のヘレン・ケラーになっちゃるで」
作者の小手鞠るいさんが目の見えないお母さんに心を寄せて描いたフィクション。 全て岡山弁でつづる。(小手鞠さんは岡山出身) エピソードは、実際あったことばかりなので、リアリティがある。 障害のある人が身近にいたら、障害を特別と思わず普通のこととして受け入れる、 そんな世界を子どもたちに知ってもらいたくてと書かれた作品。 ダイナミックなこしだミカさんのイラストがストーリーを盛り上げている。
賑やかに描かれた表紙のイラストに惹かれ、手に取りました。
三味線がうまく頭がいいおかあちゃん。口やかましくて気が強いけれど、目が悪くて手術に失敗し、ある日とうとう視力を失ってしまいます。
こちらのお話は小手鞠るいさんのお母さんがモデルになっているそう。ちょっと重いテーマだとは思うのですが、岡山弁で交わされる親子の会話によって暗さを感じさせません。
こしだミカさんの軽快かつ力強いイラストがお話にぴったりあっているなと思いました。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子16歳、男の子14歳)
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