野村萬斎氏推薦! 『「狂言」を通して、表現の楽しさを子どもたちに伝えたい――。この「狂言えほん」シリーズが、小さな子どもにとっての最初の一歩になれば、私もうれしいです。』……野村萬斎(狂言師)
〜「そらうで」は、こんなお話です〜 たろう(太郎冠者)は、おくびょうなくせに、いつも空腕(うその腕じまん)ばかり言っています。そんなたろうに、ある夕方、主人は「魚を買ってこい」と言いつけました。たろうはしぶしぶ出かけますが、暗い山道がこわくてしかたがありません。何でもないものが恐ろしく見えて、ついには主人に借りてきた刀を、命ごいに差し出してしまいました。こっそりあとをつけてきた主人は怒って、その刀を取り上げて帰っていきました。それに気づかず帰ってきたたろうは、言い訳のために、また空腕を言いはじめ……。
こんなに裏表が激しい人も、珍しい。ものすごい虚言癖で、もう呼吸をするように嘘をつく。こんな嘘つき野郎を、雇い続けている主人は、観音様かな。この絵本を見ていると、就職の面接ではすごいことをさんざん言ってカッコつけているが、いざ、現場で使ってみると全くダメだった…という場面を思い出す。ハッタリも程度が過ぎれば、「誇大広告」「詐欺罪」と、犯罪になるのではないか?
さておき、狂言の太郎冠者はいろんなタイプがあるようだが、この太郎はずば抜けている。一度読むと忘れられない、強烈な個性だ。古来より、嘘つきが栄えたためしはない!と言いたいが、現実世界は上手い事やっていい思いをしている人もあるのだろう。こうはなりたくないな、という反面教師として、ゲラゲラ笑った後は、自分のことを顧み、正直に生きようと真摯な気分になるねぇ………う、嘘、書いちゃった。現代社会を見ているみたいで、おかしい。(本当)きっと幼稚園や保育所でも、こういうタイプいるよ。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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