戦争後のロシアで思いもよらない出会いをした日本人男性とロシア人女性。長い年月を共に支えあい、ひたむきに生きた二人の愛はかけがえのないものに・・・。
スパイの疑いで戦後のソ連で7年間もシベリアの収容所に入れられた日本人の実話。
収容所を出てからも日本に帰ることを許されず、連れてこられた村で知り合ったロシア女性とのお話です。
クラウディアも幼い頃、ロシア革命後の混乱の時期に両親を失い必死に生きてきた孤独の身。
クラウディアは、ヤコブとロシア名を名乗った彼の無実を信じ、お互いを思いながら結婚して生活してきました。
二人の生活だけでも感動のお話ですが、感動はさらにさらに続きます。
ヤコブには戦後捕らえられた時に生き別れになった日本人の妻と娘がいました。
そして、長い年月を過ぎた今でも日本で夫を待っていることが分かります。
クラウディアは「他人の悲しみのうえにわたしだけの幸福をきずくことはできません。」とヤコブを日本に送り返すのです。
自分はヤコブの思い出の中で生きていけるというのです。
これほどの愛があるでしょうか。
この絵本は、実話であり、クラウディアがヤコブとの別れに送った詩に基づいています。
最後にその詩の原文(ロシア語)と訳が載っています。絵本の文中にその詩の断片がちりばめられています。
クラウディア自身の言葉からこの絵本が成り立っているのです。
凄すぎます。
村尾靖子さんには詳しいノンフィクションがありますし、ヤコブ(蜂谷弥三郎さん)もこの話を本にしていますから読んでみて下さい。
後日、クラウディアはヤコブと再会しますが、それを知って「ああ、本当に良かった!!」と思いました。
この絵本、中学生の図書室だよりで中一の生徒が、お薦め本として感想を書いていました。大人の感傷的な感動だけではなく、子どもたちもしっかり受け止めることができることも判り、さらに感動です。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子13歳)
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