年老いたクジラの背に小さな飛行グモが舞い降り、二人の南の島への旅が始まった。二人は別れたが、交わした大切な約束をクモの子孫たちは語り継いだ。時が過ぎ、クジラが南の島に戻ってくると……。壮大な友情物語。
北の海から南へと旅するおじいさんクジラ。
ある秋の日、長い糸をおしりからのばし、風に乗ってやってきたのは小さな飛行グモでした。クジラを島と間違えたのです。
「おいおい、そこは島ではないぞ。ワシの頭だ」
がっかりするクモに、南の島へ連れて行ってやるとクジラは約束します。
旅の間、クモは優雅に過ごします。クジラのおなかの下に集まる魚たち、月明かりに光る海を泳ぐクジラのむれ・・・すばらしい景色を見て、やがて南の島へ。
クモは、お礼にハンモックと本をプレゼントすると言い残し、飛び立っていきました。
やがて、何年か過ぎたある年、クジラは見覚えのある島を訪れます。そこには、光る糸できたおおきなハンモックがありました。よく見ると、その糸は・・・。
しずかなお話です。心がほっとします。
「あぁ、いきてるって いいもんだ!」私がクジラならやっぱり同じことを言うでしょう。
水彩絵の具でおおらかに描かれた絵と穏やかなクジラ像がぴたりと合って、心地よいです。 (星モグラサンジさん 30代・その他の方 男の子11歳、男の子9歳)
|