
「あ、ゆきむし」 「ゆきのきせつに なるわね」
何日か経った日の夜、雪はふりはじめます。夜が明けると、街も森も白く冷たいわたぼうしで覆われて真っ白。そんな日の朝はしんと静か。はじめての雪の日は、子どもたちもうきうきして、お行儀よくなんてしていられません。それから毎日毎日、大人たちは雪かきに大忙し。りすは蓄えてあったどんぐりを食べ、くまは眠り続けます……。
『100年たったら』(アリス館)のコンビ、石井睦美さんとあべ弘士さんが描く雪国の冬。雪が降り出し、辺り一面真っ白になり、その中で過ごす人や動物たちの様子を、ゆったりと流れる時間の中、彩り豊かに表現します。
きっかけとなったのは、「根開き」の絵。春先になると、木の根元だけ雪がとけて丸く穴があいたようになる現象のこと。それを見ると「春がくる」と感じるのだそう。
何度も繰り返していく時間の流れの中で、淡々と生きていく生き物たちや自然の姿。その中で季節の移り変わりを感じながら生活していく人々。静かでにぎやか、寒いけれどあたたかく、厳しいけれどわくわくする。
「冬のあとには、春がくる」
北国の世界を楽しみながら、新しい春の訪れを感じられる一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

「ゆきむし」が飛び、もうすぐ寒い冬がやってきます。雪が降り出し、真っ白になっていく様子、冬の間の森の動物たちの様子、やがて春になっていく様子・・・ゆったりと時の流れる、北国の世界をお楽しみください。

冬の後には春が来るという当たり前のことが、これだけ冬の光景が積み重ねられると、とても愛おしくなることが実感できました。
冬の訪れから、春が近づいてくるまでに、森の動物たちは冬眠したり、雪の中で活動したり、様々な形で日々を過ごしているのです。
何もない冬だったら、ただ過ぎていくだけですね。
木の根元がとけだして円い輪ができること、それが広がっていくこと、素晴らしい春の発見です。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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