フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ31巻は、日本の昔話『ねずみじょうど』。 むかし、貧しいけれど正直もののおばあさんがいました。手作りのだんごを山にいるおじいさんに届ける途中、転んだ拍子にだんごが山から転がり落ちて、穴の中へころころころ…。 そこで、おばあさんが穴の先をのぞいてみると、ねずみたちが歌い踊りながら、臼で何かをついています。そっと穴にもぐりこんだおばあさんは、いたずら心を起こし、猫のまねをして「にゃごー」と鳴くと、ねずみたちはびっくり仰天。金でできた杵と臼を置き去りにして、一目散に逃げ出しました。 おばあさんは、ありがたく、その杵と臼を持ち帰って使ってみると、あら不思議。お米一粒つくだけで、臼からお米があふれてくるのでした。 さて、それをのぞき見ていた隣のおばあさん。自分も幸運がほしいと、同じようにねずみの穴にもぐり込み、猫の鳴き声をまねると…。
田島征三さんの伸びやかなイラストは必見です! だんごが転がり落ちるシーン、大勢のねずみが逃げまどうシーンなど、動きがあって楽しい画面が次々展開します。昔話の持つ原始的な迫力もたっぷり。隣のおばあさんへのねずみたちの逆襲が怖い!
岩瀬成子さんのリズミカルな文章は、読み聞かせにもぴったりですね。『おむすびころりん』とよく似た展開なので、子どもたちも気づいて反応することでしょう。 昔話らしい、モチーフの繰り返しと意外性、じっくりお楽しみください。
(長安さほ 編集者・ライター)
ころがっていくだんごを追いかけて、暗い穴の中にはいってしまったおばあさん。おくから、なにやら楽しそうな歌声が聞こえてきて…。骨太な話と力強い絵が印象深い民話絵本。
全頁試し読みで読みました。私は、隣のおばあさんが気の毒で可愛そうに思いました。初めに登場するおばあさんは、悪戯心で、ねこの真似をして、ネズミの金の臼と金の杵を持ちかえってきたのにも、欲張りだと思いました。隣のおばあさんにしてみれば、やっぱり羨ましくて同じことをしただけなのに、隣のおばあさんは、誤解されてしまって殺されてしまったことにどうも納得がいかなかったです。ネズミにすれば、同一人物だとおもったのかもしれないですが、みんなで殺してしまうのは、怖すぎました。
(押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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