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「あーあ、きょうはついてない。」 お母さんにおつかいを頼まれちゃった。 ぼくがゆううつなのは、妹が一緒に買い物について来るってこと。 妹はいつも「妖精」だの「お姫さま」だの“できそこないのおとぎばなし”をつくってぶつぶつ言っている。今日だってそう。 「ドラゴンがこびとの国から魔法の石をぬすんだ」「ほら、あそこにドラゴンが逃げていく」 なんて言いだした。おかげで車にひかれそうになったり、お店の人に謝らなくちゃいけなったり、どうかしてるよね。ほんと、笑っちゃう。
ああ、こんなお兄ちゃんの困り顔。よく見かけるよね。 妹って自分勝手だし、すぐ泣くし、つまんなそうな遊びしているし。 でも可愛い妹はほっとけない。だからお兄ちゃんは結局せかせか、おろおろ、困り顔。
でもね。この「できそこないのおとぎばなし」っていうのは、案外デタラメばかりでもないみたい。あれれ・・・ぼくもおかしくなってきちゃったのかな?
お兄ちゃんの気持ちと妹の紡ぎ出す世界。読み進んでいくうちに、だんだん二つが交差していって、読んでいるほうも不思議な気持ちになってきます。日常のすきまに生まれる、こんなさり気ないファンタジー、素敵です。 いとうひろしさんには子どもの見ている世界がわかっちゃうのでしょうか、ね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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「あーあ きょうは ついてない。おかあさんに おつかいを たのまれちゃった。」ぼくがゆううつなのは、妹も一緒に買い物に行くからなんだ。妹はいつもドラゴンだの魔法だの「できそこないのおとぎ話」をつくって遊んでいる。でも、あれれ…? 読んでいくうちに動き出す、不思議な物語の世界。自由に想像しながら味わえる一冊です。
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おとぎばなし(空想の世界)にどっぷりはまる妹と、信じずにバカにするお兄ちゃんのお話。でもラストにはお兄ちゃんもおとぎばなしの世界にちょっと入っちゃいます。
おとぎばなしを信じる信じないは、女の子と男の子の差なのでしょうか。ある年齢を境に空想の世界から抜けてしまうのでしょうか。おとぎばなしばかりで自由な妹に、現実に生きるしっかりもののお兄ちゃん。二人とも子どもらしくていとおしいです。
妹の空想の世界がとてもおもしろそうなので、私も入ってみたいです。 (じっこさん 30代・ママ 女の子5歳、男の子1歳)
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